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●IWC議長提案 南極海ミンクの捕獲限度400頭
井出万寿男
(週刊水産タイムス:10/04/26号)
向こう10年間の「休戦協定」
捕鯨支持国と反捕鯨国との対立で膠着(こうちゃく)状態が続いていたIWC(国際捕鯨委員会)は、今後10年間における「IWCの将来に関する包括的合意案(IWC議長・副議長提案)」が示されたことで、局面打開へ向けての一歩がしるされた。 IWCは今年6月にモロッコ・アガディールで行われる年次会合が62回目となる。設立当初は捕鯨国で構成され、鯨類資源管理機関としての役割を果たしてきたが、反捕鯨国の相次ぐ加入で1982年に商業捕鯨モラトリアム(一次禁止)が採択されてからは機能不全状態に陥っていた。 今回の議長提案は「極端な対立がIWCの時間と資金を独占し、効果的な鯨類資源の保存と管理を犠牲にしてきた。IWC崩壊の懸念も生じており、“現状維持”は選択肢にならない」を基本的認識とし、捕鯨・反捕鯨が歩み寄れる「10年間の平穏な暫定期間」を確立するための案を提示したもの。 具体的には捕鯨活動のカテゴリー(商業捕鯨、調査捕鯨、先住民生存捕鯨など)を取り払った上で、現状より大幅に削減した捕獲頭数の上限を鯨類資源ごとに設定(表参照)。捕獲操業の監視・取締措置の導入などを盛り込んでいる。 提案の中には、南大西洋サンクチュアリー(禁漁区)の創設など、科学的根拠が欠落する内容も含まれているが、日本は「あくまでも休戦協定」(水産庁)としてアガディール会合での合意を目指す構え。 注目の南極海は最初のミンククジラ400頭(前半の5年間)と設定。これまで「資源がいかなる状態にあってもクジラを1頭たりとも捕らせない」としてきた反捕鯨国側の歩み寄りが困難視されるような内容になっているが、コンセンサスで決定するのが原則とされており、2カ月後の年次会合に向けて合意形成のための交渉がスタートする。
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