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今週の一本

●冷凍食品の「チカラ」を届けよう  去石誠一 (週刊冷食タイムス:11/01/01号)

マイナス18度Cで栄養キープ
子供達に夢を与える産業へ

冷凍ホットケーキラインに
興味津々の親子
(アクリフーズ群馬工場)
 2011年、冷凍食品業界は新たな1歩を踏み出そう。
 体力勝負の価格競争はいずれ破綻する。同じ競争なら技術と品質で勝負、その結果として価格にも優位性を出せるのが真の勝者だ。裏付けのない値引き合戦に未来はない。
 「経済情勢が悪い」と閉塞感の中で身動きせずにいても始まらない。冷凍食品という枠組みに捉われ過ぎず、変化を続ける生活者に提案し続けなければ生き残れない。
 厳しさを増す事業環境に埋没したまま嵐が通り過ぎるのを待つか、その中に飛び込み嵐の方向を変えていくか、どうする業界人。

◇    ◇

 天洋食品事件が発覚した2008年1月以降、冷凍食品業界には史上初といえる嵐が吹き込み、専門企業は存続の危機に晒された。天洋事件はごく一部の事件だったにも関わらず、大手マスメディアが一斉に中国産品、さらには冷凍食品そのものを批判。生活者の国産信仰が一気に高まり、海外産品の是非が問われたのはまだ記憶に新しい。事件をきっかけとして、業界関係者が大きな危機感を持って安全管理体制を見直した1年でもあった。
 この事件をきっかけにして業界が学んだのは、企業から生活者に向けた情報発信の大切さ。「良い商品を作っていれば消費者の理解は得られる」と構えているだけでは不十分。自分達の熱い気持ちを簡潔なメッセージとして伝える必要性を再認識した年でもある。もちろん「安全・安心」と「おいしさ」は大前提だが、それだけで商品が売れる訳ではない。生活者は自分にとって冷凍食品がどう有益かを考え、供給側はその説明ができなければならない。
 冷凍食品の特性についても、充分に理解されているとは言い切れない。冷凍食品は生産から流通まで一貫してマイナス18度Cで保たれているから「保存料が不要」であることや、「食材本来の栄養価を失わずに鮮度維持できる」ことも周知徹底されているとは言えないのが現実。また「単に便利な食品」というだけでは、他の食品を選択されてしまう。「冷凍食品だから可能なこと」はたくさんある。これを伝えずして、消費者の支持を得ることはない。

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 業界人が自ら語らずして、消費者に正しい情報は伝わらない。その代弁者が現れるはずもない。その意味でも、冷凍食品工場を多くの人に見てもらう意義は大きい。工場の概況説明で聴覚に、現場見学で視覚に、試食で味覚に訴えることは、どんな文字情報よりも効果的。子供たちにとって、冷凍食品工場は日常生活から離れた「未知の世界」。工場見学という特別な経験は、その子供1人ひとりが将来に亘り持ち続ける。
 これは主婦にとっても同じ。その自分だけの体験は家族や友人に伝えられる。工場見学を「観光」に例えても良いだろう。観光地に足を運ばず、画像を眺めるだけで満足する人はまずいない。ところが、足を運べば例え期待と違っていても、思い出は残る。マイナスイメージでは仕方ないが、工場見学が良い思い出になれば、需要に直結するのは言うまでもない。
 将来にわたり冷凍食品を利用し続けてもらうには欠かせない努力だろう。

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 (社)日本冷凍食品協会のホームページに、工場見学が可能な会員企業の工場一覧が掲載されている。掲載は19工場。協会の認定工場は500を超える中、まだまだ少ない。もちろん見学者を受け入れる工場の負担は決して少なくない。「取引に直結しない消費者は作業の邪魔になるだけ」という捉え方もある。
 協会は業界の品質管理水準を上げるため、2009年4月から新しい「認定工場制度」を導入した。従来よりも高度な基準設定で、残念ながら認定を更新しない工場もあったが、間違いなく冷凍食品工場のレベルは向上している。
 こうした業界の努力も、黙して語らずでは「もったいない」。協会が掲げるキャッチフレーズ「意外とスゴイ、冷凍食品」であることを様々な機会を利用し情報発信すべきだろう。

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 生活者と生産者を結ぶ中間流通業者の力も借りたい。
 日本の高度成長期時代の食品卸は、発注のあった商品を確実に届けるという役割があった。ところが、いまや届けるだけなら物流網に乗せるだけで良い。食品卸に求められるのはメーカーと同様、またはそれ以上の提案力。生活者やユーザーと常に接している卸が果たす役割は絶大だ。メーカーから中間流通、そして小売・ユーザーへと商品が流れる各段階で、熱のこもった提案ができなければ冷凍食品が持つ力は途切れてしまう。
 既に構築されているコールドチェーンに「業界のメッセージ」を乗せて、将来にわたり誇れる産業を築きたい。

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