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今週の一本

●北海道だけで補えず  辻雅司 (週刊水産タイムス:11/06/13号)

冷凍サンマ生産見通し立たず
懸念される被災地復旧の遅れ

供給不安が懸念される冷凍サンマ
 今年の秋のサンマ漁と、サンマを加工原料として三陸で冷凍加工できるか、関係者の心配が高まっている。サンマ漁船は7割が稼働する見込みで、漁獲量20万t(昨年ベース)のうち、漁場の形成状況により異なるものの、漁獲の落ち込みは少ないと見られている。しかし、三陸の冷凍加工施設が復旧せず、岩手県、宮城県の水揚げ数量約9万t(昨年実績)のうち冷凍品が6割(同)とすれば、概ね5〜6万tの冷凍品の生産見通しが立たっておらず、缶詰をはじめとする原料手当てのメドが立たない。

 大震災では、シーズンオフだったため、多くのサンマ漁船が造船所や岸壁に係留されていたため沖出しができず、大型サンマ漁船60隻中、約7割の43隻、小型船も含めると57隻が被害を受けた。現在造船所の復旧が懸命になされており、操業出来ないのは大型船15隻、小型船を含め合計で20隻となる見通し。大型船では、概ね7割程度で操業が出来ると見られている。
 サンマ漁は例年、漁獲ペースが高く水揚げ処理能力が追い付かない時や浜値の下落では、しばしば生産調整を行っている。このうち、漁場が沿岸近くの場合は、隻数減をカバー出来るが、漁場が遠方の沖合に形成されると、20万tのうち15隻分の5万tの水揚げがカバー出来ない(全さんま)という。
 また、8月からの北海道の漁期はじめでは、鮮魚中心の出荷となり、浜値が安くなると10月頃から冷凍品の生産が行われる。北海道では概ね7割が生鮮品で出荷されている。このため、被災した三陸の冷凍品の生産を補う余力は少ない状況。特に北海道の産地冷蔵庫は少ないこともある。また、三陸での冷凍品は全体の水揚げ数量のうち、6割と言われている(同)。
 全さんまによると22年のサンマの水揚げ数量は北海道が8万2800t、青森県は八戸のみでわずか3t、岩手県は4万1000t(うち、主なものは宮古1万5000t、大船渡2万5000t)、宮城県が4万8600t(同・気仙沼2万5000t、女川2万3000t)、福島県5000t、千葉県(主に銚子)1万3900tとなっている。
 なお、21年のサンマ缶詰の生産量は1億2200万缶となっている。
 一方、被災地の三陸における生鮮出荷体制の復興では、インフラの電力、漁港の復旧、そして製氷設備などの整備が必要だが、数カ月後に迫った漁期までに体制を整えるには、時間が足りず、元通りに復興できるメドはたっていないのが現状だ。

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