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今週の一本

●冷凍米飯、売れてます  去石誠一 (週刊冷食タイムス:11/06/21号)

“特需”で主食系に脚光
新規ユーザーも試して納得

備蓄需要も追い風となり、スーパーでは
米飯が好調(写真はイズミヤ花園店)
 冷凍米飯市場に微妙な変化が表れている。3月11日の大地震以降、「手軽に食べられる冷凍米飯が見直された他、トライアルユーザーが冷凍米飯のおいしさに気付き、新たな需要を生み出している」という声がある半面、「緊急事態を背景とした特需で、今後の動向を見極める必要がある」と冷静に分析する意見も少なくない。しかし、どちらにしても冷凍米飯の魅力をアピールするチャンスであることに変わりはない。消費者の関心が高まっている今こそ「積極的にアピールしていく」という動きが活発になっている。

 震災以降、スーパーの冷凍食品売場から商品が一斉に姿を消したのは記憶に新しい。関東以北で発生した物流インフラの寸断で、安定した商品供給が困難になったためだ。これに原料・資材不足が加わり、震災の直接被害がなかった工場でも生産の一時停止を余儀なくされた例も多かった。
 アクリフーズの場合、主力の市販用冷凍米飯「石焼風ビビンバ炒飯」は年間を通じて健闘を続けているが「特に震災後の動きが活発で、前3月期末は前年比11%増と2ケタ伸長を果たした」。業務用についても5%増で着地。しかし「この伸びが本物なのか、仮需に過ぎないのかを判断するには、もう少し時間が必要」としている。
 大阪の有力スーパー、イズミヤは「震災以降は米飯が伸び、3月は8.3%増の伸びを記録」。またテーブルマーク「えび五目炒飯」、アクリフーズ「石焼風ビビンバ炒飯」、味の素冷凍食品「エビピラフ」、ニチレイフーズ「焼おにぎり」の4品を対象に、2個500円で販売したところ、3月1〜3日の3日間で500万円を売上げ、増収に貢献。6月1〜3日にも実施して同様の結果を得たという。
 日本スーパーマーケット協会の会員59社4094店の集計でも、3月の既存店ベースの食品売上高は2.8%増、「震災後は冷凍食品の米飯、スナック類が大幅に伸びた」としている。
 一方、マルハニチロ食品は「震災の余波で米飯を生産する山形県の大江工場が約1カ月にわたり出荷をストップしたことが影響し、前3月期末の市販用冷凍米飯は前年並。4〜5月も1%減で推移している」状況が続いている。
 メーカーによって事情は異なるものの、この数年シュリンク傾向にあった冷凍米飯の需要動向に変化があるのは間違いなく、「流れを変える絶好のチャンス」という捉え方が強い。新たな冷凍食品ユーザーの掘り起こしが期待される。

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