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今週の一本

●日本水産、細見氏が次期社長に  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:12/04/10号)

垣添社長は相談役、13年ぶり社長交代

会見した垣添社長(右)と細見次期社長
 日本水産の後任社長に細見典男代表取締役専務執行役員(事業推進本部長)が内定した。垣添直也社長は役員を退任し相談役となる。社長交代と併せて「新TGL」に続く新中計「2014MVIP」計画を4日発表した。

 垣添社長は平成11年に就任以来13年、取締役に就いて20年以上。「いまの役員は全員私が任命した布陣。仮に私が会長に就けば代替わりにならない」と会長に就かない理由を説明。ただし「業界に対する発言は相談役でもできる。個人の資格でも引き続き発言し続ける」と6日開いた新中計記者会見で立場を説明した。

 垣添氏は本来会長となるべき年数を超えて社長を続投したため、以前から会長職には就かない意向を非公式に示していたが、この考えを実践することになる。

 後任人事については「私がリーダーシップを前面に出す、いわゆる“腕力型”だったが、パワーを打ち出すといまは“〜ハラスメント”と糾弾される時代。後任は逆のタイプが望ましい」とし、細見氏については「一番が健康、明るいし、酒もゴルフも(いける)。後任の条件にかなっている、と判断した」と説明した。

 昨年の同社創業100周年で社長交代する、という内外の予想があり、5月の100周年記念祝賀会で対外発表する、という観測があったが、直前の大震災でグループ社員に犠牲者を出し、女川工場を始めグループでも大きな被害を受けたために祝賀会を中止。これに伴って社長交代も1年延期したと見られる。

 細見氏は期半ばの昨年4月、代表取締役に選ばれ、後任の筆頭者であることを内外に示唆。また、垣添社長はグローバルリンクスを推進する中で後任社長の条件に「グローバルな活躍ができる」ことを掲げていたが、細見氏は米国シアトルに4年の駐在経験があり、しかも事業推進本部長として食品と水産、ファインなどグループの全体像を掌握している。

小池氏も代表権

 日本水産は5月15日の取締役会で細見氏の代表取締役社長執行役員と同時に、管理部門を担当する小池邦彦取締役常務執行役員を代表取締役専務執行役員とする。6月下旬の株主総会・取締役会で決定する。

 垣添社長と、管理部門を担当する佐藤泰久代表取締役副社長執行役員はともに相談役に退く。代表取締役以外の役員、執行役員の異動については5月15日の取締役会で決める。

 細見氏をサポートする小池氏は昭和50年入社。平成15年取締役、21年取締役常務執行役員。細見氏と同様に米国シアトル勤務の経験がある。昭和27年5月14日生まれ。早稲田大商学部卒。

 次期社長に内定した細見氏は会見で「熟慮の上、後任を引き受けた。グループの従業員には“思い”を1つに、協働で目標に向かい“やり切る”ことを強く求める」と第一声を語った。

細見氏、生産効率化で頭角、海外の経験も

 日本水産の次期社長に内定した細見典男氏は昭和48年入社。中研から生産管理、商品開発、八王子工場勤務を経て、米国ユニシー(シアトル)に駐在4年。その後チルド事業を立ち上げるため恵庭フレッシュフーズ(北海道)に出向4年。

 平成9年八王子総合工場の加工食品工場長。本社品管部から13年生産推進室長。この間、製販の“かみ合わせ”改善、無駄取りなどにより50億円規模のコストダウンを達成した。

 平成15年取締役、17年食品事業副統轄。前任の高橋昌明氏に代わり19年6月常務に昇格、食品事業統轄として事業戦略を推進。5年間で人時生産性を2倍に高める“2in5”プロジェクトでも成果を残す。

 平成21年6月取締役専務執行役員兼事業推進本部長として食品、水産、ファイン事業の拡大、新TGL計画の推進などに取り組む。

 昨年の創業100周年を機に社長就任かという観測があったが、大震災でグループ社員に被害者が出たことなどに配慮し交代を延期した模様。4月代表取締役。

 昭和25年4月12日京都府丹後生まれ。“北ロマン”で北大を選び水産学部食品学科卒。趣味はゴルフ、釣りなど。

 垣添社長は「私は腕力型だが、後任はパワーで率いるより逆のタイプが望ましい。細見は健康で明るいことも選んだ理由」と語った。

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