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今週の一本

●高騰続く活鰻相場  松田陽平 (週刊水産タイムス:12/04/16号)

専門店が悲鳴、4月は前年の倍

 活鰻の高騰が深刻化している。蒲焼き専門店などを主体に消費される活鰻の価格が高騰し、専門店の休業・廃業などが出るほど業界は苦境に立たされている。

 日本鰻輸入組合(森山喬司理事長)は第26回日中鰻魚貿易会議を都内で12日開き、日本の輸入業者と中国のウナギ加工業者から成る中国食品土畜進出口商会のメンバー24人が今期の生産・販売状況などについて意見交換。3年連続のシラスウナギの不漁により相場が暴騰している中国産活鰻の今後の動向と、ジャポニカ種の供給を補う異種ウナギの中国での生産状況などに焦点が絞られた。

 日本側の報告によると、中国産活鰻の相場は今年1月初旬で前年同期比60〜80%アップ、4月上旬で100〜120%アップと暴騰。森山理事長は「(活鰻高騰に対して)打つ手がなく無力感を感じる。国産活鰻の供給が間に合わず、中国産が国産よりも1kgあたり1000円も高い状況」と窮状を説明。

 中国食品土畜進出口商会の于露副会長は「価格が高すぎても、安すぎても互いの交流によって貿易は上手く行くはず。生産者と販売者の双方が喜べるような取り組みにしてほしい」と今回の会議に期待を寄せた。

 全国淡水魚荷受組合連合会の鈴木紘彦会長は「中国には『井戸を掘った人のことを忘れない』という言葉があるそうだが、その精神を忘れないでほしい。シラス不足で厳しい時だからこそ、日本の消費者のことを考えた行動を求めたい」と中国産活鰻の価格上昇について触れた。

 昨年4〜7月の活鰻輸入実績は中国産2300t、台湾産2000t。単価急騰により今年1〜2月は前年同期比6割の輸入にとどまっているため、「今年4〜7月の日本の輸入活鰻の需要は2600〜2800t」と報告された。

 台湾産の残鰻が少ないため、輸入活鰻は中国産が主体になる。中国側の4〜8月の活鰻の供給可能量は2500t(ジャポニカ種)。「少なくとも昨年並みの輸出はしてほしい」と日本側は求めた。国産活鰻の4〜7月の供給量は新仔を含めて約5000〜6000tと見られる。

 最需要期の7月に向けては活鰻相場がさらに上昇することが懸念されている。日本側は相場の過剰な高騰により需要が減ることを懸念。

 「活鰻が高すぎて、4月以降も蒲焼き製品の注文が来ていない。(加工されずに)活鰻での供給が過剰になれば、今の相場は維持できない。需要が減少する秋以降のことも考えて、活鰻相場が落ち着くことを願いたい」と日本側から意見が出た。

異種ウナギ、約20t池入れ
米国種、フィリピン種は中国で消費

 ジャポニカ種のシラスウナギの不足により、それ以外の異種ウナギの日本への供給も今後増える可能性がある。

 中国側の報告によると、今期のシラスウナギ(アンギラ・ジャポニカ種)の採捕量は14t。そのうち、5.5tが中国で池入れされたという。

 ジャポニカ種以外の池入れ状況は欧州種約11t、フィリピン種6〜7t、アメリカ種約2t、合計約20t。

 欧州種は蒲焼きとして日本で流通しているが、それ以外のフィリピン種、アメリカ種はまだ未知数。中国側の出席者は「アメリカ種の養殖技術はほぼ確立されつつあり、歩留りは7割。フィリピン種の養殖は試験段階。現段階では2種とも輸出向けではなく、中国国内で活鰻として流通している」と説明した。

 異種ウナギの養殖については「(これまでは小規模だったが)広東省の大手養殖業者も試験生産に取り組み始めている。養殖技術や品質は今後向上していくだろう」と語った。

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