●2011年度水産白書、復興過程を克明に記録全国の改革モデルに 政府は25日、2011年度の「水産白書」を閣議決定した。東日本大震災からの復興は道半ばだが、「復興に向けた活動をできるだけ多く記録として残したい」(水産庁)との考えから、35の事例を随所に盛り込んでいる。このため、ボリュームも昨年より34ページ増えている。 白書は震災を機に芽生えた新たな取り組みについて、大幅にページを割いて紹介している。オーナー制でカキ養殖を復興した宮古島かき養殖組合や、地元漁船の漁獲物の写真をホームページ上に掲載し、消費者に直接販売した「三陸とれたて市場」の活動などを文と写真で記している。 また、漁港機能の高度化整備を進めている青森県の八戸漁港も取り上げている。EUへの輸出も視野に荷さばき所などの衛生管理対策を強化していることを強調し、完成後は東北の水産物の輸出拠点となることを期待している。 漁港の減災対策の推進も掲げている。産地市場の陸揚岸壁の耐震化や災害発生時の避難経路の整備の必要性を指摘するなど、減災を前提とした構造物の設計を促している。 漁業就業者数は 漁業就業者の減少や高齢化は顕著で、白書は10年の就業者が前年比4.2%減の20万3000人となったとしている。一方で、漁業専業の就業者数が7万530人(34.6%)から7万5650人に増加。男性の専業就業者の40〜59歳の階層が1万6070人から1万6490人に増えていることにも言及している。 日本の水産資源について、11年度の評価結果では資源評価対象(52魚種・84系群)のうち4割(33系群)が低位水準だったことも示している。だが、近年の推移から低位の割合が減少し、中位の割合が増えているとも指摘。資源保護対策が奏功している結果もうかがわせた。 新しい切り口の 6次産業化の担い手として、水産業・漁村での女性の活動の詳細データを載せたり、将来への期待も書いているのが今回の白書の特徴。八丈島漁協女性部が地元に水揚げされるトビウオを加工し、島内外の学校給食に販売していることなどもコラムで紹介している。 水産庁の新井ゆたか企画課長は「白書に掲載した復興事例は被災地の復興だけでなく、全国の漁業改革のモデルとして生かしていきたいというメッセージも込めた」と話している。 |
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