●マルハニチロがトップに市販、業務用シェア、グループ合算でこれまでのM&Aの効果顕著 マルハニチロの業務用は585億円で1位のニチレイフーズ、2位のテーブルマークに次ぎ3位となるが、先月29日付でグループ化したヤヨイ食品の240億円を単純加算すると825億円となり、ニチレイFの811億円を上回る。 決算上の実績比較はヤヨイ食品の売上げを加算する12年度からとなるが、実力的にマルハニチロ食品グループが業界トップ級に躍り出たことは間違いない。 特に業務用では、歴史的にニチレイが首位の座を明け渡したことが一度もなかったが、このままニチレイFが業務用の大型M&Aなどの取り込みをしなければ、今期末には史上初のシェア逆転となりそう。 ヤヨイ食品をグループに取り込んだ効果が非常に大きいことをシェアの異動が如実に示している。またアクリフーズを旧雪印乳業から取得した戦略、マルハとニチロが統合した効果もここにきて顕在化してきた。 ヤヨイ食品は伊藤忠の資本下で中国青島に工場を抱えたこともあるが、商品、原料調達、工場運営、従業員管理など様々な課題を残して自主経営を断念。手づくり要素の強い商品、価格対応力のある商品開発と供給に遅れを余儀なくされていた。しかし、マルハニチロ食品は中国、タイに多くの冷凍食品工場を持ち、世界中からの原料調達力にも業界屈指の優位性がある。 ヤヨイがマルハニチロ食品グループの海外拠点の優位性を発揮し、国内工場でも併行して復旧を進めれば、今期目標の270億円達成を支えるとともに、震災前の10年度実績である330億円突破にも近づく。 旧ニチロ経営陣は旧雪印冷凍食品をグループ化する際、ニチロ本体に取り込まず、アクリフーズという別組織で独立ブランドを駆使する道を選び、業界に「アクリ」の存在感を認めさせた。今回のヤヨイのグループ化でも、マルハニチロは藤嶋照夫社長をはじめとする経営陣と社名、ブランド等は従来通りの基本線をこれまで示し、独立したマネジメントを展開する考え。 旧ニチロと旧雪印乳業の冷食事業は早くから事業統合のうわさがあり、一方で雪印とネスレ日本はヤヨイ食品の冷凍食品事業と統合をめざして動いたことがあった。時代環境の変化とともに、いまマルハニチロ食品を中核に、アクリフーズ、ヤヨイ食品というグループ会社として生き続ける。 マルハニチロ食品グループの躍進、業界の台風の目としての動きは市販用、業務用ともにいま非常に注目されている。同グループの信頼を高めるもう一つの側面として、関係情報を的確に開示していることも指摘できる。既に今期はMN食品が市販用400億円、業務用430億円で計830億円。アクリは319億円、77億円で計396億円。ニチロサンは業務用で91億円、合わせて1317億円。 これにヤヨイの新年度計画270億円を加算すればNM食品グループの今期冷食売上げは1587億円となり、業界の冷食総合売上げでニチレイFの1850億円の予算に次ぎ、2位の座を固めることになる。 なお、前期売上げで総合1位はニチレイF。市販用調理冷食、業務用調理冷食に凍菜・その他冷凍水産加工品等を加えると、1831億円でトップとなる。 |
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