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今週の一本

●チリギン暴落で減益   (週刊水産タイムス:12/08/13号)

大手水産5社の第1四半期(4〜6月)

 大手水産の平成25年3月期第1四半期は水産事業、食品事業とも利益面で苦戦。特に水産事業ではチリ銀の暴落が他魚種へと波及し、厳しい4〜6月となった。一方、冷蔵倉庫事業は、荷動きは鈍いものの、高在庫による保管料収入の増加などで概ね堅調な業績で推移している。

マルハニチロ
水産・食品とも減収減益
 マルハニチロホールディングス(東京・豊洲、久代敏男社長)は売上高が3.9%減、営業利益が36%減。四半期純利益の大幅な増加は厚生年金基金の代行部分返上による特別利益の計上などによるもの。

 水産セグメントの売上高は1206億円で前年比5.5%減、利益は20億2300万円で40%減少した。

 養殖事業ではマグロの売価が上昇した一方、カンパチが低迷。北米事業はスケソウダラを効率的に漁獲・生産。スリミ・助子の販売も順調だった。

 水産商事は、チリ産鮭鱒の市況下落の影響で冷凍魚全般の荷動きが悪化。エビは買付コストの上昇を売価転嫁できずに苦戦した。荷受事業は取扱量の減少に歯止めがかからない状況。戦略販売事業は量販、生協、コンビニ、寿司業態向けの販売が好調に推移している。

 食品セグメントは売上高691億円(前年比1.6%減)、利益は22億8300万円(同31%減)。保管物流セグメントは売上高39億円(前年比7.3%増)、利益3億5300万円(同20.5%増)で増収増益。物流コスト削減による在庫圧縮の傾向が続くなか、入庫数量はやや減少したものの、入庫数量に比べて出庫数量が少なかったため、在庫数量が増加。輸配送事業等の周辺事業も順調。

日本水産
家庭用冷食が健闘、業務用は苦戦
 日本水産(東京・大手町、細見典男社長)は増収減益。水産事業は売上高566億円で前年比22億円増加したが、営業利益は5億7800万円で4200万円減少。日本では鮭鱒の単価下落で減益。養殖事業はマグロ魚価が高値で推移したが、ブリの魚価が下落。チリの鮭鱒養殖も数量は増加したが、魚価の下落から減益となった。

 食品事業は売上高690億円で7億6200万円増加、利益は8億5000万円で10億8000万円減少した。家庭用冷食の販売は堅調だったが、販売競争の激化で経費が増え、利益を圧迫。業務用冷食、魚肉ソーセージは苦戦した。

 ファインは売上高68億3200万円で前年比4300万円減、営業利益は17億2900万円で2億6900万円減。昨年は震災後の一時的な需要増があった。

 物流事業はは増収増益。東北エリアの回復に加え、首都圏エリアの貨物量が増加した。

極洋
水産・冷食は減益、常温と鰹鮪が健闘

 極洋(東京・赤坂、多田久樹社長)は、売上高で前年実績を確保したが、営業利益が大幅に減少。「意図したスタートダッシュが切れなかった。秋の新商品を起爆剤とし、年末商戦で巻き返しを図る」(多田社長)。

 水産商事は、チリ銀の供給過剰による市況下落が他の魚種へ波及。昨年の震災による需要増の反動もあり、売上高、利益ともに前年実績を下回った。

 冷凍食品も販売競争激化の影響を受け、売上高は前年同期を上回ったものの、利益は実績に届かなかった。

 常温食品は、生産設備の復旧が進んだ国内協力工場の水産缶詰を中心に、輸入缶詰や畜肉缶詰、海産珍味類などの拡販や新規商材の開発に努めた結果、売上げ、利益とも前年を上回った。

 鰹・鮪セグメントは売上げ、利益ともに前年同期をクリア。海まきが漁獲量の増加や魚価の上昇で計画を上回ったほか、養殖事業も順調。かつお・まぐろ加工及び販売事業は大手回転寿司チェーン店や量販店などへの拡販に努めている。

ニチレイ
加工食品・物流ネットワーク事業が好調
 ニチレイ(東京・築地、村井利彰社長)は調理冷凍食品の販売が好調だった加工食品事業や、物流ネットワーク事業がけん引した低温物流事業が貢献して増収となった。

 水産・畜産事業が減益となったが、加工食品と低温物流事業の増収効果などで営業利益が10%増。投資有価証券売却益8億円を特別利益に計上し、純利益は大幅な増益となった。

 水産事業の売上高は0.8%減の155億円、営業損失7300万円(前年同期は1億8700万円の利益)と赤字に転じた。「えび」は加工品が堅調だったが、主力の東南アジア産えびの単価下落で減収減益。「水産品」は4.3%の増収となったが、北方凍魚の単価下落や貝類の不振で減益となった。

 加工食品事業は増収かつ大幅増益。低温物流事業の売上高は6%増の382億円、営業利益は32%増の21億円。物流ネットワークが8.6%の増収、営業利益は54%増。地域保管事業は3.7%の増収、営業利益は22%増と伸びた。

 第2四半期・通期業績予想を修正した。通期の連結売上高は4710億円(期初予想比30億円減)、営業利益は173億円(修正なし)、経常利益は165億円(同)、当期純利益は100億円(同)を計画。

東洋水産
得意の魚卵、マグロを積極販売
 東洋水産(東京・港区、小畑一雄社長)は売上高、営業利益ともに前年実績を上回った。

 水産食品事業は、得意商品の魚卵、マグロなど刺身商材を中心に販売を積極的に行った結果、売上高は増えたが、利益は養殖鮭鱒の市況悪化などが影響し、前年実績を大きく下回る8100万円にとどまった。

 国内即席麺事業は「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」「麺づくり」の基幹ブランドが伸び悩んだが、袋麺「マルちゃん正麺」が好調。ただ、利益は原材料価格の高騰や販売促進費の増加、新規製造ラインの設備投資などで減少した。

 冷蔵事業は増収増益。各種メーカーによる節電対策として夏季商品の前倒し生産が行われたため、保管在庫が高い水準で推移し、保管料収入が前年を上回った。

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