●大手水産5社の第3四半期業績、通期予想に明暗 大手水産5社の平成25年3月期第3四半期決算が出揃い、通期の業績予想も現実味を帯びてきた。第3四半期でマルハニチロホールディングスは営業利益128億円を確保したものの減収減益。増収となった日本水産も営業利益は32%減少した。極洋はほぼ横ばいで推移。ニチレイは加工食品と低温物流がけん引し、大幅増収。東洋水産は袋麺の大ヒットで増収増益となっている。 マルハニチロホールディングス、営業利益25%減 第3四半期までの動向を見ると、水産セグメントの売上高が3779億円で前年同期比5.4%減、利益は47億円(同48%減)。食品セグメントは売上高2284億円(同6%増)、利益84億円(同1.8%減)。保管物流セグメントは売上高119億円(同4.5%増)、利益12億円(同7.8%増)。 水産セグメントは海外まき網が順調に推移したものの、沖合まき網が不振。養殖事業はマグロの売価が上昇したがカンパチの相場低迷が続いた。水産商事事業はチリ産鮭鱒の市況下落の影響を受け冷凍魚全般の荷動きが悪化。荷受事業も取扱量の減少に歯止めがかからず、苦戦が続く。一方、戦略販売事業は量販店・コンビニエンスストア・外食寿司業態への積極的な販売で増収増益となっている。 日本水産、増収も営業減益3割 第3四半期では純利益が半減。水産事業は売上高1730億円、営業利益2億2200万円で増収減益。食品事業も売上高2002億円、営業利益は22億円で増収減益。ファイン事業は売上高208億円、営業利益57億円で増収増益。グループの営業利益はファインの存在が圧倒的に大きい。 極洋、鰹鮪が増収増益 第3四半期では売上高がわずかに減少し、営業利益はほぼ横ばいで推移した。純利益は前年比506%増。 水産商事は冷凍魚やエビ・カニ製品を中心に付加価値商品の販促に努め、年末商戦は順調に推移したが、売上げ、利益とも前年同期を上回るまでには至らなかった。 一方、鰹・鮪は増収増益。冷凍食品、常温食品の両セグメントは増収だが、原料コスト高で利益が伸び悩んだ。苦戦していた物流サービスは売上げが前年を上回り、損失額も下回った。冷蔵運搬船事業はバナナ輸送の年間契約の獲得を図り、船体編成のスリム化に努めている。 ニチレイ、物流・加工食品がけん引 第3四半期は調理冷凍食品の販売が好調だった加工食品事業が67億円、物流ネットワーク事業がけん引した低温物流事業が50億円増収となり、全体では100億円の大幅増収となった。水産事業は減益となったものの、主力の加工食品事業や低温物流事業の増収効果などで全体の営業利益は13億円増。 東洋水産、「マルちゃん正麺」大ヒット 水産食品事業は魚卵・マグロ・一般凍魚などを中心に開発・販売を積極的に行った結果、売上高は前年比1.8%増。ただ、利益はチリ産銀鮭を中心とした養殖鮭鱒の市況悪化、水産加工場の一部改修工事や震災復興改修工事などを行ったことによる償却費の増加が利益を押し下げ、2億円(前年比75%減)にとどまった。 一方、国内即席麺事業は袋麺「マルちゃん正麺」が好調で大幅増収。冷蔵事業は保管在庫が高水準で推移したほか、入庫・出庫もほぼ前年並みの取扱量となり、売上高は115億円(前年比0.5%増)を確保したが、利益は電力料金の値上げなどで10億円(同4.8%減)となった。 |
||