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今週の一本

●加工度を上げる冷凍品  去石誠一 (週刊冷食タイムス:13/02/26号)

精肉売場に冷凍惣菜、冷凍食品との“垣根”低下

 冷凍食品と冷凍品の垣根が一段と低くなってきた。スーパーでは新店を中心に、冷凍食品売場とは別に精肉売場や水産売場に冷凍ケースを置くパターンが増加。ここに冷凍食品とは異なる「冷凍品」が陳列される例が増えている。もっとも一般の消費者にとっては冷凍食品も冷凍品も同じであり、区別して購入しているケースは少ない。便利で商品価値が認められれば、どちらであっても構わないということだ。冷凍食品と冷凍品のせめぎ合いは年々熾烈になってきている。

 冷凍食品は(1)下処理(2)急速凍結(3)適切な包装がされ、(4)品温がマイナス18℃以下に保たれている――ことが大前提。これに対して魚や肉などのように、単に素材を凍らせているだけのものは冷凍品に括られる。しかし量販店やスーパーに来店する消費者のほとんどは、厳密な意味や理由を知る機会すらない。パッケージの裏面で冷凍食品なのか否かを確認している消費者はまず皆無だろう。

 水産売場の一角には凍ったままの魚が売られ、その延長線上では、衣付けしたえびフライやあじフライなどが冷凍ケースの中で半惣菜品としてマイナス5℃で売られている。また精肉売場の近くでは、マイナス10℃以下でコロッケやロールキャベツが販売され、冷凍食品と惣菜の中間的な商品として存在している。

 日本ハムの食肉事業部は精肉コーナー向けの冷凍素材コンシューマーパックとして『ミート・キッチン』シリーズを立ち上げ、3月から焼肉用「豚とんとろ(ネック)」や鍋用「豚のローススライス」などを200gパックで新発売する。

ひと手間調理で仕上げる冷凍品
 日本ハムは惣菜や加工食品が進化する中で、あえて「家庭で調理した食品」づくりを提案する。冷凍ストックしやすい量目で品揃えすることにより「いざという時に重宝する」汎用性の高いアイテムをラインナップしている。

 同社グループの日本ピュアフードも、精肉売場の冷凍コーナー向けに『北海道日本ハムファイターズの寮ごはん《特別編》』として「麹仕込みチキンソテー用」と「赤身牛カルビのプルコギ風焼肉用」の2品を3月から発売する。どちらも未加熱で、マイナス18℃以下の要冷凍品。日本ハム中央研究所の管理栄養士の協力で開発した。食べて健康を作り出すという「新しいヘルシー」の形を提案する。

 日本ハムの末澤壽一常務食肉事業本部長によれば、「これまで食肉事業のグレーゾーンとしてあまり積極的には攻めてこなかった分野」だった。しかし時代が変わり、手軽で便利、しかも調理が楽しめるという欲張りニーズに応えるには持って来いのジャンル。「グループが持つ食肉原料の調達力や調味料技術を生かした開発はまだまだ奥が深いはずだ」と自信を示す。

 いわゆる冷凍食品との競合については、「我々がめざすのはあくまでも精肉売場でのお役立ち。自動機械で量産する冷凍食品とはコスト面で勝負にならず、消費者が求めるものも異なる」と末澤常務は分析する。

 もちろん、今すぐに冷凍品が冷凍食品を凌駕、駆逐することはないにせよ、近未来的にはわからない。実際、「恒常的な特売に荒れ果てた冷凍食品売場に魅力はない」とする製造業者は少なくない。肉、魚、野菜と生鮮3品がそれぞれ冷凍コーナーを常設するようになった時、今の冷凍食品はどう生き残るべきか。

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