●4〜9月決算、水産系は魚価高が利益貢献円安や原料高騰のマイナス要因も 大手食品・水産メーカーの第2四半期(4〜9月)の連結決算の発表が続いている。水産系のメーカーは、魚価の高値安定で概ね売上高、利益ともに伸長している。これに対し、食品系のメーカーは、ほとんどが増収であるものの、円安と原料高の影響から減益となったところが多い。冷凍食品関連企業の上期業績と冷凍食品事業動向をまとめた。 有力各社の4〜9月業績をみると、カルピス社を売却した味の素を除きいずれも増収となっている。金融緩和をはじめとした経済政策により、円安・株高の基調が続いているため、各社の経営は概ね良好といえる。 ただし欧米諸国における財政問題など景気を押し下げるリスクも存在する、として「先行きは不透明」と分析する企業が多い。 海外から原料や製品を輸入しているメーカーにとっては、昨年末から急激に進んだ為替相場の円安はマイナスに作用。これにタイや中国など海外工場の人件費高騰も加わって、収益を圧迫する最大要因となっている。さらに原料高もあり、大半の企業は今秋から価格改定に踏み切ったが、今期の業績に反映するのはこれから。 企業によっては「計画していた価格改定がなかなか浸透せず、10月以降も苦戦している」というケースが少なくない。この他、電気料金の値上げによるエネルギーコストの上昇や、販促費の増加などを収益圧迫要因にあげるところが多い。 ただし水産事業に関しては、水産物市況が堅調に推移したことから、増収増益要因にあげる企業も多い。水産事業の構成比が高い企業の大半は、昨年の不調から一転して営業利益、経常利益、四半期純利益を大きく伸ばしている。 冷食は堅調、値上げ浸透に期待 冷凍食品事業単独でみると、各社とも概ね増収基調にある。トップ集団のニチレイ(ニチレイフーズ)、味の素(味の素冷凍食品)、マルハニチロホールディングス(マルハニチロ食品)らが増収。テーブルマークも事業を集中させている麺・米飯・パンの「ステープル(主食領域)については順調に伸長している」。 市販用冷凍食品よりも業務用冷凍食品の伸びが良いのはニチレイ、味の素、日本水産、東洋水産など。テーブルマーク、マルハニチロは市販用を伸ばした。 食品事業全般では増収減益基調。各社とも値上げが本格的に浸透してくる10月以降に期待している。同時に、消費の減退も予測される来春の消費税率アップに向けて、収益の確保を当面の課題に掲げている。 |
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