●魚価回復で水産事業が好転2014年3月期業績、食品は原料高で苦戦 2014年3月期の決算時期を迎え、大手水産・荷受各社の業績が順次明らかになっている。チリ銀暴落に伴う魚価低迷で厳しい結果に終わった一昨年に比べ、前3月期は鮭鱒、エビなど主要魚種の魚価が回復。食品事業は原料高で苦戦したが、水産事業は概ね堅調に推移した。 水産の利益が倍増 マルハニチロ(東京・豊洲、伊藤滋社長)は売上高8517億円(前年<マルハニチロホールディングス>比5.2%増)、営業利益106億円(同11.4%減)、経常利益139億円(同5.3%増)、特別損失として製品回収関連費用50億4200万円などを計上した結果、当期純利益は31億9100万円(同41.4%減)。 水産と食品とで明暗が分かれた。水産セグメントは売上高5167億円で前年比6.2%増。セグメント利益は79億8700万円で同95.6%増。鮭鱒、エビなど主要魚種全般の相場が上昇する中、水産商事が適時買付けと前倒し販売で大幅な増収増益となった。特に海外売上高は欧州水産物販売会社及び豪州漁業会社への出資もあり、前年の858億円から1134億円と32%増加した。 一方、逆風となったのが食品セグメント。円安や原料高によるコスト増に加え、子会社アクリフーズの農薬混入事件における自主回収などが響き、売上高は3151億円と前期比4.2%増加したものの、セグメント利益は36億2400万円と57.6%減少した。 売上高2000億円突破 極洋(東京・赤坂、多田久樹社長)は、売上高が2024億円で前年比13.7%増、営業利益29億1500万円(同25.4%増)、経常利益29億8500万円(同32.0%増)、当期純利益29億6800万円(同133.8%増)と大幅増益となった。売上高は2015年の中計目標を前倒しで達成した。 水産商事セグメントは売上高1004億円(前年比23.6%増)、営業利益30億4600万円(同91.0%増)と大幅な増収増益。 冷凍食品セグメントは家庭用冷凍食品にも参入し、新ブランドを立ち上げた。部門売上高は前年比10.9%増の561億円となったが、円安や原料高、海外工場の労務費といった生産コストの上昇で、営業利益は前年比59.5%減の1億2700万円で着地した。 常温食品セグメントは、売上高172億円(同11.3%増)、営業利益4600万円(同68.2%減)。 鰹・鮪セグメントは売上高255億円(同6.3%減)、営業利益5億8200万円(同35.3%減)。 営業利益7億円増 大都魚類(東京・築地、青木信之社長)は主力の水産物卸売事業や水産物その他事業のセグメント利益が大幅に改善し、営業利益が7億100万円(前期は16億円の損失)となった。 取扱数量は前年対比で若干減少したが、単価上昇により売上高は1275億円と前期比1.4%増収。利益面では前年の冷凍鮭鱒による多額の損失を解消すると同時に、魚価の上昇とコスト低減で売上総利益が前期比26.5%増加。経常利益は7億4600万円(前期は15億3700万円の損失)、当期純利益は4億5900万円(前期は48億5300万円の純損失)。 水産物卸売事業の売上高は前期比0.2%減の1121億円、セグメント利益は4億円(前期は18億円の損失)。前年の鮭鱒による多額の損失が解消したことと各事業の収益率などが改善した。 同社は連結子会社だったガルフ食品の株式を今年3月に売却し、前期末時点で同社の連結子会社から除外した。 今期業績はガルフ食品の連結子会社からの除外による減収や、新業務システム導入コストなどによる経費増加を見込んでいる。 今期は連結売上高1200億円、営業利益3億5000万円、経常利益3億4000万円、当期純利益2億5000万円を計画。 大幅な増収増益 築地魚市場(東京・築地、吉田猛社長)は、主力の水産物卸売業における単価上昇が影響し、売上高が前年比5.6%増の810億円と増収となった。また、営業費用の削減が当初予想を上回り、営業利益が3億6800万円(前年は22億3600万円の損失)、経常利益が3億8600万円(同22億6800万円の損失)、当期純利益が4億8900万円(同38億9500万円の純損失)と大幅に改善した。配当は前年同様に無配。 水産物卸売業の売上高は802億円(前期は759億円)、セグメント利益は1億7200万円(同24億1100万円の損失)。数量は横ばい、単価が6.8%上昇した。 今期は売上高800億円、営業利益3億円、経常利益3億円、当期純利益2億8000万円を計画。 |
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