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今週の一本

●極洋、完全養殖マグロを沖出し  井出万寿男 (週刊水産タイムス:14/09/29号)

3年後の出荷めざす

イケスの中で元気に泳ぐ完全養殖マグロ
 極洋(東京・赤坂、多田久樹社長)と日本配合飼料(横浜市、山内孝史社長)の合弁会社、極洋日配マリン(愛媛県南宇和郡愛南町、林泰史社長)がこのほどクロマグロ完全養殖魚の沖出しに成功した。

 現在、クロマグロ養殖は天然資源保護に向けた取り組みが求められている。極洋グループと日配グループは、国内外におけるクロマグロの天然資源保護に向けた規制が強化される中、将来に向け、持続的な水産資源の活用と安定的なクロマグロの供給を継続するため、両グループの合弁により、極洋日配マリンを平成24年11月に設立。クロマグロの完全養殖に向けて取り組んできた。

 天然の親魚から採卵し、人工ふ化させた仔魚を約4年かけて親魚に養成し、この人工親魚からの採卵による人工ふ化魚を沖出しすることで、初めて完全養殖魚となる。

 今年度は海上イケス設備、採卵用親魚の管理を含めた育成事業が順調に進み、人工親魚から採卵した200万粒から種苗生産を開始。8月から9月にかけて、陸上のふ化場から新たに確保した人工種苗漁場へ、約1万4000尾の完全養殖魚の沖出しに成功したもの。

 両グループは、種苗生産、沖出し、養成、出荷までの全てを、同じ宇和海エリアで完結させることで生産効率を高め、養殖漁場の環境負荷を低減させることも実現している。

 日配による人工ふ化技術、仔魚から育成魚に至る各ステージでの成長を促す効率的な飼料開発と、極洋が持つ天然種苗からの蓄養経験、技術の融合により、3年後の完全養殖クロマグロの出荷を目指す。

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