●築地から豊洲へ 重要な年世界一の年にふさわしい市場に 東京都は昨年12月、市場業界との合意をふまえ豊洲新市場の開場時期を平成28年11月上旬にすることを決めた。いよいよ豊洲新市場への移転に向けた動きが加速していく。開場までに残された期間は2年もない。水産物部、青果部を合わせ約1000社近い事業者が築地から豊洲へ移転するというかつてない規模の市場移転だ。今年1年が勝負の年となる。 地下水管理システムを導入 平成26年2月に着工した本体工事は、青果棟(5街区)や水産仲卸売場棟(6街区)、水産卸売場棟(7街区)、管理施設棟(7街区)でいずれも基礎工事が現在行われている。 「街区により多少進み具合に差はあるが、予定通り順調に建設工事は進んでいる」と東京都中央卸売市場の加藤仁新市場整備部長は説明する。 本体工事着工以前から行われていた土壌汚染対策工事については昨年10月末に完了。11月27日開催した技術会議の場で、専門家からの工事完了の確認を受けて、都は豊洲新市場用地の安全性が確認できたとの認識を示した。 都は新市場用地において、地下水管理システムを導入し、今後も継続して市場用地の安全性を確認していく方針。 市場用地の地下に設置される地下水管理システムにより、水位を一定に維持しながら、水質のモニタリングを行う。測定結果については都のホームページなどで公表する。 本体施設については28年3月末に竣工する予定。竣工後には、卸売業者や仲卸業者らによる施設内の造作工事が急ピッチに行われることになる。造作工事は1000件を超えると見られており、その一部は本体工事と並行して行われる。 「造作工事の大半は本体施設竣工後に行われるが、一部本体工事とオーバーラップして行う予定。工事に関する工程管理については、市場業界と密接なコミュニケーションをとりながら、都が主体となり調整していく」。 都は1月から、造作工事に関する相談窓口を設置する予定。 かつてない大規模事業 東京都にとっても豊洲への移転は経験したことのない大事業となる。 「新市場の延床面積は約40万u。都政建築史上でも、かつてないほどの規模。現在の都庁の第一庁舎と第二庁舎、議会棟を合わせても38万u。それほど大規模な工事を行うわけだから、工程管理を徹底し、計画通りに進めていきたい」と加藤部長は語る。 今後の最大の課題は、物流を含めたソフトをどう運用していくか。 昨年夏には物流検討会を立ち上げて、さらに、実務協議のため複数のプロジェクトチームを設置。都と市場業界の間で議論を積み重ねながら進めている。都としても「物流などのソフト面を詰めるのが今年の重要な取り組み」と位置付けている。 28年11月上旬の開場となり、開場直後に最繁忙期を迎えることとなる。 「開場に向けて、新しい施設での習熟期間が必要との要望も頂いており、都としては真摯に受け止め、調整をリードしていきたい。引越しも重要な課題。ある一定の枠組みやルールを作り、その中で効率的に進めていかないと成功しない。スムーズに引越しできるように取り組んでいく」。 80年の歴史を持つ築地市場の後を引き継ぐ豊洲新市場は、首都圏の基幹市場となる。 閉鎖型施設による高度な品質・衛生管理、効率的な物流、加工機能の充実など時代のニーズに合った先進的な卸売市場として機能することが期待されている。 加藤部長は「東京都は今、“世界一の都市”をめざしているが、豊洲市場も世界一の都市・東京の食を支えるのにふさわしい卸売市場にするのが目標。新しい市場として、築地を上回る“豊洲”ブランドを作り上げていきたい」と意欲を見せる。 |
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