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今週の一本

●海外販売、著しい伸び  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:15/11/10号)

大手冷食メーカー、味の素は国内上回る

 4〜9月のメーカー決算で冷凍食品の海外販売事業の好調さが際立っている。ニチレイフーズ、日本水産とも海外冷食販売高は20%以上の高い伸びを示し、いずれも利益貢献度が高い。味の素は北米でウィンザー社の冷食事業買収効果が大きく、半期だけで一気に500億円超の事業に拡大した。これにより味の素は海外売上げが国内を上回るという冷食業界初の事業構造となった。

 海外の冷食販売事業が大きく伸びているのは為替の影響もある。日本水産の為替換算レートによれば、14年9月期の1米ドルは101.4円に対し、今年9月期は122.5円で、20.8%の円安。しかし「為替だけでなく、現地価格ベースでも増収増益で好調」(日本水産)という。

 味の素は北米でウィンザー社、ニチレイFはイノバジアン社を買収した効果が大きく表れている。

 味の素は昨年上期の海外売上げ85億円に対し、ウィンザー社が加わった今上期は435億円の上乗せで一気に520億円となり、国内の上期売上げ458億円を上回った。これは冷食業界初。

 味の素冷食が国内で蓄積した生産性向上活動、商品ノウハウに旧ウィンザー社の販売網がミックスされ、増収でしかも大幅増益。味の素は北米で@東洋水産との合弁の冷凍麺工場、A旧ウィンザー社のオークランド工場に新設する冷凍米飯ラインの稼働を控えており、2020年までに北米で冷食1千億円以上の実現をめざし、さらに動きを加速する。

 欧州市場向けに餃子などを生産するポーランドの合弁工場も順調。

ニチレイは今期300億円到達か

 ニチレイはアジアンフーズを手掛けるイノバジアン社が大手量販チェーンで引き続き好調。上期売上げは約28%増の約4100万ドル(約50億円)と大きく伸びた。単品収益管理手法が浸透し、利益率も改善した。下期はデリカ向け業務用調理品も拡販。通期で115億円(26.4%増)、4億円の利益を見込む。

 ニチレイはタイのGFPTニチレイで通期137億円、その他48億円、海外で合わせて300億円の大台到達を見込んでいる。

日本水産も国内売上げを上回る

 日本水産の海外事業は買収した現地企業のブランドや商品を生かして展開しているのが特徴。

 上期の海外家庭用は北米ゴートンズ社、仏シテマリン社等で21%増の201億円、業務用は北米K&P(キング&プリンス)社等で24%増の231億円、計432億円の実績。水産加工品が主力。上期の海外冷食売上げは国内の上期冷食422億円を上回っている。

 国内と海外の冷食を合わせると、上期は13%増800億円。通期換算すると1600億円という業界トップ級の規模となる。

 3社以外に冷食で海外販売を積極化し、実績を挙げているメーカーはないが、国内市場の頭打ち感と収益の厳しさから脱するため、今後海外に事業拡大の根を広げる動きが出ることは充分に考えられる。

 欧米市場では極端な安売りがない。

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