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今週の一本

●もうすぐ5年、まだ復興途上  木村健 (週刊冷食タイムス:16/03/08号)

求められる付加価値型への転換

港の周辺は土地のかさ上げがひと段落し、
山の中腹には工業団地や住宅の建設が
進んでいる(気仙沼市)
 あと3日で3・11から5年がたつが、被災地は今も復興の途上にある。日本の一大水産加工基地である宮城県気仙沼港周辺の現況を取材した。補助金により生産設備はかなり回復してはいるものの、いったん途切れた販路が完全にもどるケースは少ない。そのため、加工度の高い調理冷凍食品に挑戦する企業も出ているが、人材や作業員の不足といった問題も立ちはだかっている。

 水産庁が水産加工業を対象に実施した復興状況アンケートでは、生産能力が8割以上回復した業者は5県(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県)全体で58%。

 一方、売上げが8割以上回復した業者は48%。回復傾向にはあるものの、生産能力の回復より遅れている。

 一度失った販路を戻すのは難しい。例えば塩辛。気仙沼には塩辛の大手メーカーが3社あるが、生産を停止している間に北海道産が増え、以前と同じ製品を作っても過剰競争を引き起こしてしまう。その他の軽加工水産物も大なり小なり同じ傾向がある。

 ネギトロやマグロの切り身など生食を生産していたあるメーカーは、冷凍食品の生産にチャレンジし始めたが、まだ試作品を展示会などで提案し始めた段階。

 早々と成功した事例もある。大手冷食メーカーの下請けだった冷食メーカーは、大手メーカーのOBの助力により下請けから独立メーカーへの脱皮を果たしている。とはいえこれは稀有な例で、技術やノウハウを持った人材が不足していることは間違いない。

 労働力の不足も大きな課題として残っている。人口が流出し、外国人研修生も戻ってこない。住宅の確保や地域の活性化など、課題はまだ山積している。

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