●もうすぐ5年、まだ復興途上求められる付加価値型への転換
水産庁が水産加工業を対象に実施した復興状況アンケートでは、生産能力が8割以上回復した業者は5県(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県)全体で58%。 一方、売上げが8割以上回復した業者は48%。回復傾向にはあるものの、生産能力の回復より遅れている。 一度失った販路を戻すのは難しい。例えば塩辛。気仙沼には塩辛の大手メーカーが3社あるが、生産を停止している間に北海道産が増え、以前と同じ製品を作っても過剰競争を引き起こしてしまう。その他の軽加工水産物も大なり小なり同じ傾向がある。 ネギトロやマグロの切り身など生食を生産していたあるメーカーは、冷凍食品の生産にチャレンジし始めたが、まだ試作品を展示会などで提案し始めた段階。 早々と成功した事例もある。大手冷食メーカーの下請けだった冷食メーカーは、大手メーカーのOBの助力により下請けから独立メーカーへの脱皮を果たしている。とはいえこれは稀有な例で、技術やノウハウを持った人材が不足していることは間違いない。 労働力の不足も大きな課題として残っている。人口が流出し、外国人研修生も戻ってこない。住宅の確保や地域の活性化など、課題はまだ山積している。 |
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