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今週の一本

●避けて通れない、そうざい半製品基準  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:17/01/10号)

冷凍食品に統合の可能性

調査結果踏まえ検討へ

 冷凍食品には国が定めた規格基準がきちんとあるのに対し、「冷凍」保存されることが多いのに法的な基準がない「そうざい半製品」について、新たな基準策定の動きが始まりそうだ。これに伴い「冷凍食品」と、冷凍食品ではないものの、同じく冷凍状態で販売され冷凍保存される「そうざい半製品」を冷食業界がどう扱うかの議論が湧き上がる可能性が高い。

昨年の食中毒が発端

 昨年11月、「そうざい半製品」の冷凍メンチカツを原因とするO157の集団食中毒が発生し、連日メディアでも報じられて社会問題化したのが発端。未加熱の食肉加工品を、購入した消費者が充分に加熱しなかったためと見られている。

 問題は規格基準が定まっている「冷凍食品」と、たまたま同じ冷凍販売し、冷凍保存される「そうざい半製品」との違いを消費者は明確に区別しづらく、簡便調理が多い冷凍食品と同様に気軽に取り扱われる懸念が多いことであり、食中毒等が発生すると、今回と同様に「冷凍食品で健康被害」と一般には混同され、冷凍食品全体のイメージダウンにつながること。

 冷凍食品は厚労省の「食品、添加物等の規格基準」で@無加熱摂取A加熱後摂取(凍結前加熱)B加熱後摂取(凍結前未加熱)について、生菌数や大腸菌群などが明確に定められている。(昭和34年同省告示)

 これに対し「そうざい半製品」は「食品、添加物等の規格基準」には含まれず、厚労省が昭和54年に出した「弁当及びそうざいの衛生規範」がこれに関連する通知。しかもこの規範は惣菜等の衛生的な取り扱いを示したものであり「食品衛生監視員の指導指針とされている」(日本冷凍食品協会のホームページ)。

消費者の混乱回避優先を
むしろ積極的関与が必要

 このように法的な指導基準がない「そうざい半製品」を原因とする集団食中毒が今回発生したため、厚労省は今後の対策を検討する方針を示している。

 この場合、冷凍食品と同様の規格基準を設けたり、「そうざい半製品」の名称を禁じて冷凍食品に統合する考えも出ている模様。現状で同省は「神奈川県などの調査結果などを踏まえて検討する」(生活衛生・食品安全部基準審査課)という考え。

 「そうざい半製品」の法的規格が定められた場合、冷食業界としては冷凍「そうざい半製品」が冷凍食品の“仲間”と捉えるのか、飽くまで「冷凍食品とは別物」と従来通りの筋論を通すのか、議論が湧き上がるのは間違いない。

 この問題について、冷食メーカーは「悩ましい」、「簡単に結論を出せない」と現状では戸惑いが多く、明確な方向を示す意見はまだ聞かれない。

 ある大手メーカーのトップは「少なくとも消費者が混乱しないことが一番重要」と指摘する。

 「そうざい半製品」に対する規格基準の策定作業が厚労省で始まれば、冷凍食品業界に対するヒアリングなどが行われることは必至。その際、消費者の混乱を避けるためには使い手が判断に困るような2つの基準(Wスタンダード)や、あいまいなルールを設けるべきではない。

 むしろ冷凍で販売され、冷凍保存を求める「そうざい半製品」は冷凍食品業界の“仲間”と捉え、その規格基準を厳格に順守する方法、方向を追求するのが得策であろう。

 冷凍食品をも巻き込んで間もなく始まると思われる「そうざい半製品」の規格基準の議論を前に、業界の立ち位置をいまのうちに明確にしておくことが必要。

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