●第3四半期、魚価回復で水産好調大手水産、通期の上方修正も 大手水産会社の平成29年3月期第3四半期決算が出揃った。1年のカギを握る天王山の年末商戦を終え、通期のゴールが近づいてきたが、マルハニチロやニチレイは第3四半期での好調な業績を反映して通期予想を上方修正。営業利益で過去最高の着地をめざす。 マルハニチロは商事事業、加工事業で利益が大幅に伸び、営業利益が255億円と前年同期に比べて7割増となった。これを踏まえ、通期の営業利益を当初予想の220億円から260億円と上方修正した。 営業利益255億円のうち、商事事業が80億円近くを稼ぐ。前年同期に比べ71%増加した。海外事業も売上高は減少したものの営業利益72億円を確保。加工事業は59億円だが、前年に比べて334%増の大幅な増益となった。 商事事業は水産商事がけん引。主要魚種の多くが高値圏にあるなか、冷凍魚・エビなどを中心に原料・加工品の販売が好調。円高による調達コストの減少も追い風となった。海外も北米鮭鱒事業の収益が改善した。加工事業は家庭用冷凍食品で麺・米飯の主食系が強みを発揮。アクリブランド品の販売も増えた。 ニチレイは、加工食品・水産・畜産・低温物流の主要カテゴリーが全て増益となり、通期予想を上方修正した。売上高5400億円、営業利益290億円と、2005年に持株会社に移行して以来、最高の業績を見込む。 第3四半期は加工食品事業、低温物流事業が堅調に推移。かつては赤字に苦しんだ水産事業も外食・中食向け「最適加工」の取り組みを強化。4期での苦戦が予想されるものの、3期で12億円の営業利益を計上するなど、黒字が安定した。 ニチレイは通期業績予想の上方修正に伴い、1株当たり配当金(期末配当金)を前回予想より1円増額し、16円とする予定。 日本水産は営業利益が187億円、経常利益は207億円と大台を突破した。 南米の鮭鱒価格が大幅回復した水産事業が好調に推移した。赤潮で販売数量が減少したが販売価格が上がり、在池魚評価も好転した。 極洋は5つのセグメントのうち水産商事が利益面で全体をけん引し、増収増益。営業利益は前年同期比16%増の28億円を確保した。通期では35億円の営業利益を見込む。 来年度は中期経営計画「バリューアップ・キョクヨー2018」の最終年度。「魚に強い総合食品会社」として家庭用冷食にも注力する。 東洋水産は収益が安定している主力の即席麺事業に対し、前年同期で赤字を強いられていた水産食品事業が黒字転換。魚卵やエビなどの原料価格が上向き、前年のセグメント損失1億2800万円から2億5600万円の利益を計上した。 |
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