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今週の一本

●冷凍食品は時代が求める食品  越川宏昭 (週刊冷食タイムス:17/08/08号)

技術伴う競争で市場広がる

伊藤冷食協会長が力強い展望

熱く語る伊藤会長
 冷食新聞協会(越川宏昭会長=水産タイムズ社会長、加盟10社)は日本冷凍食品協会会長の伊藤滋氏(マルハニチロ社長)をゲストに招いて懇談会を2日都内で開催した。伊藤氏は、「社会構造の変化に伴う個食、小容量、多様性、そして調理の外部化、時間価値の要素など消費者の要望に応えられるのが冷凍食品であり、時代が求める食品だ」と発展性について高く評価した。以下は伊藤会長の話の要旨。

 ――現状認識は
 伊藤 冷凍食品の生産高は昨年2.3%増の高い成長を示し、食品産業でも数少ない成長産業と位置付けられる。ただ、今後も成長性を持続するためにはメーカー各社がさらにニーズを捉えた新商品を開発し、提案していく必要がある。類似品で競争するのではなく、炒飯などで各社が特徴を出しているように、同じカテゴリーでも独自技術を競い合うことにより(同じパイを奪い合うのではなく)市場の広がりを創出していくことが望ましい。

 ――新商品の動向
 伊藤 新商品が市場の成長をけん引していくのは間違いない。生産高が伸び悩んだ数年前を振り返ると、新商品よりも既存品のリニューアルが中心だった。ここにきてチャンレンジングな商品が増えつつあり、生産高の勢いにもつながっている。

 ――冷凍食品の評価は
 伊藤 大手問屋の調査によると、消費者が冷凍食品について評価するのは、「保存性」、「利便性」、「簡便性」の項目が上位を占める。驚くことに「美味しさ」は11位と低い位置付けである。冷凍食品だからこそおいしいことをもっと認知してもらうよう業界が一致して取り組むべきだ。

東京五輪を飛躍のチャンスに

 ――東京五輪への期待
 伊藤 過去の東京五輪の折には帝国ホテルの村上調理長などが奮闘されて選手村の大量給食に冷凍食品が活躍し、その後の冷凍食品時代到来の端緒を作った。2020年の東京五輪は過去最大規模の大会、しかも夏場の開催なので食材として冷凍食品を使わざるを得ない。この機会を捉えて冷凍食品の特性をアピールしたい。その一環として三國清三シェフに冷凍食品協会のアンバサダーに就任していただいた。三國さんは高名なシェフであり、発信力もあるので理解アップの推進役として期待している。

 ――フロン対策への対応
 伊藤 冷凍食品は冷力を必要とするのでフロン対策は避けて通れない業界共通の問題。政府の省エネ対策の一環として補助金が冷蔵倉庫、冷凍食品工場、ショーケースなどに対策されていたが、今年度は冷蔵倉庫以外の業種が対象から外された。工場で生産したものが冷蔵倉庫に保管されるわけで、倉庫には補助しても工場にはしないというのは理にかなわない。業界の総意をまとめて要望書を環境省に提出しており、来年には復活できるものと期待している。20年施行が見込まれているHACCP対応については、既に冷凍食品協会が工場への指導レベルを上げてきており、問題なく対応できるとみている。

CVSの冷食取り組みに期待

 ――売場への期待
 伊藤 冷凍食品の売場については、CVSの冷凍食品への取り組みが意欲的で、売場拡充が見込まれる。売場だけでなくCVSに求められる冷凍食品はどういうものか、ニーズを先取りした新商品の開発をCVS、食品メーカーが一体となって進めるなど着実に前進しているのが心強い。また、実店舗だけでなくアマゾンなどを含めネット通販には冷凍食品がマッチできる。介護食市場への対応も進めていくべき。

 ――業界の合理化の課題
 伊藤 協会が中心になって段ボールの規格化、物流面の共配などに取り組むことが必要。時間がかかるかも知れないが、長期的な視点で挑んでいきたい。

 ――協会、会長の使命は
 伊藤 冷凍食品を消費者に如何に理解してもらい、もっと普及させることが協会の使命。その補助的なものとして協会に考えてもらって新しいキャッチコピーを「しあわせ広がる、冷凍食品」とした。このコピーの趣旨は冷凍食品をもっと身近なものと感じてほしい、日常生活の中にあるものと認識してもらいたい。

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