●震災支援機構、支援決定期間が延長被災事業者の二重ローン問題解消へ 東日本大震災により二重ローンに苦しむ事業者に対する(株)東日本大震災事業者再生支援機構(以下、震災支援機構)の支援決定期間が3年間延長される。平成33年3月31日までの間、支援決定を行うことが可能となり、被災事業者への朗報となった。 水産・食品加工業、7割が売上げ戻らず 震災支援機構は東日本大震災により過大な債務を負った中小事業者の債務負担を軽減し、事業の再生支援をすることを目的とし、23年11月に議員立法により東日本大震災事業者再生支援機構法が成立、24年2月に設立された。支援決定期間は設立後5年以内(1年延長可)の今月22日までとなっていたが、支援を必要とする事業者が今後も多く見こまれることから、今国会で議員立法により機構法の改正を提案。2月7日公布され、支援決定期間を3年間延長することとなった。 債務免除や債務保証、本業の支援も 震災支援機構では▽仮設から本設へ移転する際の新規借り入れによる債務負担の増大▽既存顧客の喪失や風評被害等による売り上げ回復の遅れ▽グループ補助金の自己負担分の借り入れの返済猶予期限(概ね5年)到来による資金繰り悪化――などにより、震災前借入金との二重ローンに苦しむ事業者に対し、事業再生計画(最長15年間)を策定。支援決定を経て、震災前借入金の債務免除、返済猶予、利息減免、今後の新たな借入金の債務保証といった支援を実施する。さらに、継続的な状況把握や販路開拓など本業の支援も行う。 今年1月末までの支援決定件数は733件。債権買取は698件1306億円で、このうち債務免除が614件647億円となっている。 復興庁参事官「ぜひ機構に相談を」 復興庁では今後の震災支援機構の活用ニーズを把握するため、被災4県、総計51カ所からのヒアリングを実施。その結果、水産・食品加工業の71%、卸小売・サービス業の66%、旅館・ホテル業の65%が震災前の売り上げを回復できていない実態が浮き彫りとなり、今後の機構活用ニーズの高さをうかがわせた。 7日に水産庁記者クラブで会見した復興庁の和爾俊樹参事官は「震災支援機構は手厚く支援をしている。支援を通じて約1万4000人の雇用を守ってきた。地域経済の活性化にも貢献している。被災によって債務を負った事業者は、ぜひ機構に相談をして欲しい」と呼びかけた。 |
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