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今週の一本

●AIで原料を選別  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:18/02/27号)

ニチレイフーズが近大と開発、画像を学習データと照合

 ニチレイフーズは工場で使用する原料をAI(人工知能)で選別する技術を近畿大学工学部電子情報工学科(竹田史章教授)と共同開発した。これにより同社商品に使用する原料の品質保証力が格段に向上するとともに「生産性向上、労働環境改善、人手不足への対応、環境負荷低減など多くのことが期待できる」(同社、近大)としている。

生産性向上、労働環境改善に

 特許出願済。

 @原料を撮影し、その画像の夾雑物部分を独自技術で強調する。(照明技術、撮影技術、画像処理技術の組み合わせによる)

 Aその強調された画像を特殊な方法で数値情報に置き換える。(濃淡ヒストグラム、ニューラルネットワークの組み合わせによる)

 B事前に大量のデータを学習させておき、その数値情報とマッチングを図る。

 これにより「従来比で夾雑物除去率が約1.5倍、処理スピードは約4倍となる」(両者)。原料だけでなく、製造工程内や完成品での検査にも応用できる、という。

 今回開発した技術は作業者の経験に頼らず安定した検査を行える汎用性に優れているため、ニチレイFでは「将来的に当該技術の外部販売も視野に入れている」という。

 経験豊かな作業者のスキルを記憶させることで職人技の伝承が容易に可能となり、人の手の感覚や目を超える=五感を超える精度を持つことが可能となるため、完全自動化につながると両者では期待している。

人手や目視検査なしに選別可能

 ニチレイフーズは原料受け入れ時に金属検知、X線、近赤外線、光学・色彩などの選別技術を活かして原料の品質保持、管理している。しかし不定形原料や混入している夾雑物の位置や角度などにより判別の精度が下がるため、選別後に改めて人手、目視による検品が必要となる場合が多くある。

 特に鶏肉原料選別では「硬骨」、「羽根」、「血合い」の除去がポイントとなる。硬い骨はX線で選別できるが、羽根と血合いは全量を人手、目視対応せざるを得ない。これを大きく改善する技術を今回開発した。

 検査に用いる「濃淡ヒストグラム」は横軸に画像の輝度値(濃度)、縦軸に画素数とした度数分布図のこと。「ニューラルネットワーク」は人間の脳神経回路の仕組みをモデルにした情報処理システムのこと。自己学習能力を持ち、提示されるサンプルに基づいて必要とされる機能を自動形成することができる。

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