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今週の一本

●ウナギ代用品時代が到来  栗原浩太 (週刊水産タイムス:18/06/25号)

本物に負けない旨さを追求

 ウナギの価格高騰を受け、土用の丑の日(今年は7月20日)を前に、ウナギに代わる「関連商品」が次々と登場している。魚肉スリミを原料に、見た目も味もウナギ蒲焼そっくりのカマボコ製品や、ウナギに代わる新たな土用の丑の日のメニューなど、活発化する「脱/ウナギ」の動きを追った。

蒲焼はウナギだけじゃない

土用の丑の日商戦に向けた
イオンの蒲焼商品
うな次郎 長持ちパック

 ニホンウナギ資源の減少要因としては、海洋環境の変動、親ウナギやシラスウナギの過剰な漁獲、生息環境の悪化が指摘されているが、ウナギの生態には未解明な点も多く、因果関係ははっきりとしていない。そのため、予防原則に従い、漁獲対策、生息環境改善対策を実施している。

 そんな状況を踏まえ、各社はウナギに代わる商品の開発に力を入れている。

 イオンは土用の丑の日商戦に向けた蒲焼商品をラインナップ。「伝統と革新」をコンセプトに、伝統の食文化であるウナギ蒲焼に加えて、サバやパンガシウス、豚ばらなどを使った革新的な“代替蒲焼”を充実させ、消費者の選択肢を増やしている。

 TV(トップバリュ)シリーズの新商品として「骨取りさばの蒲焼」「炭火焼豚ばら肉蒲焼」を発売。土用の丑の日商品は本州・四国の「イオン」「イオンスタイル」約400店舗で7月20日まで展開する。

 有機野菜、無添加食品などの会員制宅配サービスを展開する、らでぃっしゅぼーや(東京都新宿区)もウナギ代用商品を揃えた。

 ウナギ稚魚の不漁や、「丑の日」前後に常態化しているウナギ蒲焼製品の過剰生産・廃棄といった問題も解決も含めて、ウナギ以外の食材で栄養を摂り、夏を乗り切るという新しいライフスタイルを提案しようというもの。ビタミンB群を豊富に含む「湯せんだけ さんま蒲焼き」や、肝臓機能に効果的な「宍道湖産大和しじみ」、特製ヤンニョム使用の「信州望月高原キムチ」など。

ウナギ風蒲鉾も定着

 既に新潟の蒲鉾メーカー、一正蒲鉾はウナギ蒲焼をイメージした水産ねり製品「うなる美味しさ うな次郎」が一昨年6月の発売以来、ヒット商品となっている。

 今年2月には来品と比べて賞味期限が2倍長い「うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック」をリリースした。「うなぎのようで、うなぎじゃない」がコンセプト。皮の部分もスリミで再現し、焼き目をつけることで香ばしく仕上げている。1枚あたりビタミンB1を1.8mg含有している。

 それより以前に動きを見せていたのがスギヨ(石川県七尾市)。見た目も食感もウナギの蒲焼にそっくりの「うな蒲ちゃん」を2013年から業務用やインターネットで試験販売し、16年4月から本格販売を開始した。

 脂質成分が20%のウナギのふっくらした食感を再現するのに苦労したという。数種類の魚のすり身にこんにゃくゼリーを混ぜてとろみを出した。皮はイカスミの色素を混ぜたペースト状のすり身を使った。焼き目も付け、独自のたれで味付けしている。小骨までつぶ状のすり身で再現し、より本物に迫った。

 一方、ウナギではなく、ハモを売り出そうしているのが徳島県小松島市。地元特産のハモの消費を盛り上げるため、土用の丑の日を前に、ウナギに代わる栄養価の高い食材として小松島産のハモを使った「ハモ蒲焼き」などのハモ料理試食会を29日、都内で開く。地元の小松島漁協、和田島漁協の共催。

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