●日本水産、9割が「資源の心配なし」取扱水産物の資源状況を調査 日本水産(東京・西新橋、的埜明世社長)は、同社およびグループ企業が取扱う水産物の資源状態に関して初の調査を行った。同社グループは、CSR経営の重要課題の一つに「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達」を挙げており、その前提としてグループが取扱う水産物の資源の現状を把握したもの。 「持続性が確認された魚」調達
取扱魚種450、年間で160万t 調査の対象企業は日水と国内外グループ計45社(国内28社、海外16社)。2016年に同社グループが扱った天然魚について、魚種名(学名)の漁獲海域、原産国、原魚換算重量を洗い出し、FAO、FISHSOURCE(水産資源データベース)による資源情報を紐づけして集計した。 日水グループの取扱水産物の数量は、原魚換算で年間約160万t、世界の漁獲量の1.6%に相当する。取扱魚種数は学名で約450種。漁獲海域はFAO区分の海域で18カ所となった。原産国数は約80カ国。 構成比は天然魚93%、養殖魚7%。天然魚のうち、資源状態の心配ないものは133万3301tで全体の88%。これは北米、ロシアのスケソウダラや、ニュージーランドのホキなど、MSC(海洋管理協議会)などの認証を得ているものや、FAO、FISHSOURCEの評価で資源状態に心配がないとされるチリのイワシ、ペルーのアンチョビー、ロシアのベニザケ、日本のマサバなどが含まれる。 逆に「資源状態が心配なもの」「不明なもの」は180万1363t(12%)。資源回復の計画があるもの、網目規制や操業期間の制限が設けられているもの(3.2%)、漁業国での漁業管理がなされているかについて確認し終わっていないもの(8.8%)が該当する。 「SeaBOS」通じ資源管理を提言 同社では「資源状態に心配ないもの」を含め、グループが調達する水産資源について、資源回復計画や網目規制、操業期間の制限など漁業資源管理施策の有無を含めて資源の最新情報を収集。漁獲国の政策、IUU漁業や奴隷労働への対応も注視する。特に、漁業管理の有無が不明であった魚種は、該当する漁獲国に対し資源管理を科学的に行うよう、世界の大手水産企業による漁業資源管理組織「SeaBOS」(日本はマルハニチロ、日本水産、極洋が参加)を通じて提言する。 また、「不明なもの」に含まれている魚粉・魚油については、トレーサビリティの開示に向け、世界の先進的な取り組みを学び、対応策を検討する。WWF(世界自然保護基金)が主導しているGDST(漁獲から販売までの水産物のトレーサビリティのグローバルな基準を構築するためのダイアログ)の実現にも協力する。 |
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