●水産改革元年、豊かな海を取り戻すために資源回復と成長産業化を実現千葉・船橋漁港、大平丸を訪ねて
「江戸八百八町」を背景に、産業として成長を遂げてきた東京湾の漁業。太平洋戦争以後、工業化による東京湾の大規模埋めたてが漁場環境を悪化させたが、今も休業することなく、永々と漁は続く。従業員は16人。全国的に漁業者の高齢化が進む中、若手が中心で活気がある。 東京湾の魚は暖流系。太平丸の漁場は「海ほたる」の周辺で、今はワラサ(ブリ)、セイゴ(スズキ)、アジ、タチウオなどが獲れる。漁獲物の大半は豊洲市場に送られる。 夏場は夕方に出港し、翌日の早朝まで操業。冬は早朝から夕方といったパターンが多いが、風の動きによって操業時間は前後する。船団は網船2隻と運搬船、伝馬船の4隻体制。 かつてはイワシやコノシロが豊漁で、1日の操業で100t近い水揚げに沸いたことがあった。スズキの魚価が高騰したときは、今とは比較できないほどの好景気も味わった。
かつては、春のボラ漁に始まり、夏のスズキ漁、秋のイワシ漁で終わっていた。スズキは6月頃から獲れ始め、7〜8月には景気よく獲っていたのに、今は8月後半になってからやっと獲れ始めることも。逆にタチウオやサワラが今までいなかった場所で結構な数が獲れる。 以前は北海道でブリが獲れるなど、考えられなかった。東京湾でも秋に回遊してくるサバが夏に獲れ、初秋に獲れるイナダが春に獲れる。そして秋には全くみえない。ただ「魚からすれば、いつ、どこを泳ごうが自由。餌や温度など快適な場所を求めて移動している。その環境に、今までと変化があったということだろう」(大野氏)。 ◇ ◇
水産庁は昨年、資源管理措置、漁業許可・免許制度など、漁業生産に関する基本的な制度を一体的に見直す「漁業法等の一部を改正する法案」(水産改革法案)を国会に提出し、可決・成立をみた。「適切な水産資源の管理」「水産業の成長産業化」を両立させるため、水産資源管理の強化や養殖業への企業参入促進を柱としている。 2019年は「水産改革元年」となる。 |
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