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今週の一本

●サンマ 昨年下回る見通し  井出万寿男 (週刊水産タイムス:19/08/05号)

平均体重も前年以下か

 水産研究・教育機構の東北区水産研究所は今年のサンマ来遊量が昨年を下回ると予測した。9月下旬以降は増加するとの見通しも出ているが、9月中旬までの来遊量は極めて低調との予想。魚群は0歳魚と1歳魚で構成されるが、今年は漁期を通じて前年より1歳魚の割合が低い上、1歳魚の平均体重も昨年を下回るという。水産庁が7月31日発表した。

今年の漁獲量が注目されるサンマ
 昨年の全国のサンマ水揚量は約12万t(前年比55%増)。極端な不漁に終わった2017年は上回ったものの、例年の20万t以上の漁獲量に比べると半減に近い。

5月から公海漁業

 大型船出漁直後(8月下旬)の漁場は、択捉島以北の海域に分散して形成される。三陸海域への魚群の南下時期は例年より遅れ、漁場形成は10月下旬となる。1歳魚とは、6〜7月のサンマ資源量直接推定調査時の体長が27cm以上、8月以降の体長が29cm以上を指す。

 日本のサンマ漁獲量の95%以上は、指定漁業である北太平洋サンマ棒受網漁業による。これまで漁期は8〜12月と定められていたが、今年3月の省令改正で漁期の制限がなくなり、5月から指定漁業によるサンマ棒受網漁が公海で行われている。8月からは排他的経済水域(EEZ)内の操業を含めたサンマ棒受網漁が始まっている。

日本を上回る台湾

 日本のサンマ棒受網漁業は1950年代に急速に発展し、漁獲量が急増した。80年代後半以降は概ね20万〜30万tで比較的安定してきた。

 その後、2010年以降に減少傾向となり、17年の漁獲量は8万4000t。棒受け網漁業が普及した1960年代以降で、69年の6万3000tに次ぐ低い値となった。

 昨年は日本のほか、ロシア、台湾、韓国、中国、バヌアツがサンマを漁獲。台湾は2000年代に漁獲量を伸ばし、13年以降は日本の漁獲量を上回っている。2000年以前は日本の漁獲量が全漁業国・地域の漁獲量のおおむね8割以上を占めていたが、外国の漁獲量増加によって日本の漁獲量が占める割合は徐々に低下。昨年は29.4%にとどまっている。

 サンマは日本の近海だけでなく、北太平洋の中緯度域(亜寒帯から亜熱帯海域)に広く分布している。寿命は2年で0歳と1歳の2年級で構成。漁場は、8月に千島列島から道東海域で形成された後、日本列島東岸を南に移動し、10月には三陸海域、11月中旬〜12月は茨城県〜千葉県沖(常磐海域)まで達する。

TACで国別配分

 現在、北太平洋のサンマは高度回遊性魚類として北太平洋漁業委員会(NPFC)による資源管理の対象になっている。今年4月に行われたNPFC科学委員会では、現在のサンマの資源状態は最大持続生産量(MSY)が得られる水準とほぼ同等との結果。

 7月のNPFC第5回年次会合では、サンマの漁獲上限枠を設けることが合意され、2020年漁期におけるNPFC条約水域(公海)の漁獲割当て量(TAC)が全体で33万tと決まったが、TACの国別配分は来年の年次会合で検討される。

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