●令和2年度水産予算概算要求、前年比39%増3003億円 水産庁が8月30日に公表した令和2年度水産予算の概算要求総額は3003億円で、30年度当初予算額2167億円の38.6%増となった。▽新たな資源管理システムの実施▽成長産業化に向けた重点的な支援▽「スマート水産業」などの推進▽水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靭化の推進▽漁業取締体制の増強、国境監視機能等の多面的機能の発揮、捕鯨対策▽東日本大震災からの復興まちづくり、産業・生業の再生――を主要項目として算出された。 資源調査・評価に大幅配分 「『水産資源研究センター』構想(案)に向けた資源調査・評価体制の根本的な見直し」には68.6%増の118億円を要求する。水産研究・教育機構の資源研究部門を見直し、調査研究体制を強化するとともに、調査船調査や市場調査、海洋観測を拡充。資源評価対象種の拡大と評価制度向上を推進する。水産庁漁業調査船「開洋丸」については最新調査機器を導入した代船を建造する。 「漁業経営安定対策の強化」には4.9倍の878億円を計上。計画的資源管理に取り組む漁業者を対象に漁獲変動による減収を補填する漁業共済や積立ぷらすといった漁業収入安定対策を強化する。燃油や配合飼料の価格上昇に対する対策にも力を入れていく。 「水産業におけるICT等の先端技術の活用とデータ連携基盤の構築」では60.0%増の8億円を確保したい考え。資源評価の高度化に向けた環境・操業・水揚げデータの収集や活用体制の構築、操業の効率化に向けたシステム開発・導入を推進する。 「外国漁船対策等」の要求額は56.0%増の262億円。日本周辺海域における水産資源管理の徹底と国際ルールに基づく操業秩序維持のため、外国漁船による違法操業に対する取締体制を強化する。 これら以外の主な要求項目は「漁業・漁村を支える人材の育成・確保」に10億円(29年度当初予算=8億円)、「漁船漁業の構造改革」に53億円(51億円)、「沿岸漁業の競争力強化」では「浜の活力再生・成長促進交付金」に56億円(54億円)、「水産業成長産業化沿岸地域創出事業」に100億円(100億円)、「戦略的な養殖業の成長産業化」では「養殖業成長産業化推進事業」に4億円(4億円)、「漁業構造改革総合対策事業」に53億円の内数(51億円の内数)、内水面及びさけ・ます等栽培資源総合対策に14億円(14億円)、「水産バリューチェーンの生産性向上」に14億円(12億円)、「水産物の輸出力の強化」では「浜の活力再生・成長促進交付金等」に323億円の内数、「漁港の機能増進」に26億円(26億円)、「農山漁村地域整備交付金<公共、農村振興局計上>」に1113億円の内数(927億円の内数)、「水産多面的機能の発揮等」に56億円(55億円)、「捕鯨対策」に51億円(51億円)。 復興庁計上として「災害復旧等事業等」に560億円(623億円)、「福島県農林水産業再生総合事業」に47億円(47億円)、「復興水産加工業等販路回復促進事業」に12億円(12億円)。 水産基盤整備は22%増の867億円 水産基盤整備事業の概算要求額は対前年比22%増の866億7400万円。漁港漁場整備長期計画の着実な推進とともに、水産改革に即した水産業の成長産業化に向け、▽水産業の競争力強化と輸出促進に向けた生産・流通機能強化対策▽漁場環境の変化に順応した広域的な水産資源の回復対策▽大規模自然災害に備えた漁業地域の強靭化対策▽漁村の活性化に向けた漁港ストックの最大限の活用――について重点的に推進する。 新規・拡充事業は▽漁港におけるICTの活用推進(拡充)▽漁場におけるICTの活用推進(拡充)▽国による漁業取締船係留のための施設整備(沖縄県糸満漁港、新規)▽遠隔離島周辺における漁場利用可能性調査(新規)。 |
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