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●新漁業法が施行
井出万寿男
(週刊水産タイムス:20/12/07号)
資源管理と成長化めざす、一体的に見直し
「適切な資源管理」と「水産業の成長産業化」の両立をめざす改正漁業法が1日施行された。水産資源の減少で生産量や漁業者数が長期的に減少傾向にあることから、今回の改正では資源管理や漁業許可、免許制度など漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直している。 改正のポイントは、@漁獲可能量制度の対象拡大A漁船ごとの漁獲割当て方式の導入B密漁対策の強化(罰金の上限引き上げ)C利活用されていない漁場に限定した新規参入の認可D漁船の大きさに関する制限の緩和――など。 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)を漁業法に統合し、新たな資源管理システムを構築した。科学的根拠(資源評価)に基づいて設定した漁獲可能量(TAC)をもとに管理を行い、持続可能な資源水準に維持・回復させることを基本とする。 TAC管理は、個別の漁獲割当て(IQ)による管理で、IQの準備が整っていない場合、管理区分における漁獲量の合計で管理する。TAC決定にあたっては、資源管理の目標を定め、その目標の水準資源への回復を念頭に置く。 漁業許可制度では、漁業の競争力を高め、若者に魅力ある漁船漁業を実現するため、漁業の生産性向上に努めるよう求めている。
漁業権、条件付きで民間企業参入も
漁業権についても70年ぶりに改正された。既存の漁業者が漁場を適切・有効に活用している場合に免許を付与した一方、既存の漁業権がない場合は「地域水産業の発展に最も寄与する者」に付与するとしており、利用されていない漁場に関しては民間企業の参入も可能になった。法定の優先順位は廃止する。合わせて漁業権者には、漁場を適切・有効に活用する責務を課す。漁場活用に関する報告も義務付けている。 水産業協同組合法では、漁協の役割を明確化した。漁協が事業を行うに当たっては、水産資源の持続的な利用と漁業生産力の発展を図りつつ「漁業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない」と規定している。また、販売のプロの役員への登用、公認会計士監査の導入などを盛り込み、事業・経営基盤の強化を図る。
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