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●今年1年を体質強化の年に
木村健
(週刊冷食タイムス:21/04/20号)
日本水産浜田次期社長が方針示す
| 浜田氏 |
日本水産の次期社長に内定した浜田晋吾代表取締役専務執行役員は13日会見し、「グループを“新たな成長軌道”に乗せたい。フロンティアスピリッツを鍛え、モノ作りの技を磨き上げる。財務目標の達成に加えて、社会から信頼される価値あるグループをめざして、様々な“チャレンジ”をしていきたい」と抱負を語った。 社長就任は6月25日の総会後だが、「4月1日から実質的にバトンタッチしてリードしてほしい」という的埜明世社長の意向で就任前に方針発表を行った。 同社は順調に業績を伸ばしてきたが、20年度はコロナ禍により「いったん成長軌道が切れた踊り場局面」となったと判断。新中期計画を1年延期し、今期は体質強化の年度にすることを決めている。 新社長の方針としては具体性が濃い内容で、新たな成長軌道に乗るためのキーとなる取組みは@垣根を超えるA生産性の向上B新規事業や新しい仕組みの導入を具体的に進めるC人材育成の教育プランやキャリアパスを再構築する――の4つとした。 「垣根を超えるというのは協働を強めること。現状、各部署がそれぞれ事業を深堀りして先鋭化していることは悪いことではないが、横串を刺すことでもっといろいろな芽が出てくると思う。未着手・未開拓の領域や市場、事業や垣根を飛び越えた商品や戦略などが必要。水産と食品、家庭用と業務用など、重なる部分を強化していきたい」。
AI・IoT、DXの本格展開
生産性の向上については、実現のためにAI・IoTの活用、DXの展開を本格化させる。「当社の生産性は全ての部署・業務で世界一かと問われれば、誰もそうだとは言わないだろう」と認識。営業は昨年導入した営業支援システムSFAを定着させる。養殖事業は自動化・省力化・精度向上に取組む。生産は今年で4年目となるスマートワーク2025を推進し、生産機能再編成プランの策定と実現に取組む。技術開発は未来型生産ライン・設備・関連技術の開発を進める。さらに、全ての部署で定型業務を自動化して同業務を50%以上削減する。 会見では、AIを活用した生産性向上の一例として、養殖事業における尾数カウントの実例を挙げた。 新規事業や新しい仕組みの導入については、新設した社長直轄の専門組織「事業開発部」と、R&Dにおける「デザイン思考」手法の定着を具体例に挙げた。 事業開発部は新規事業の創出に取り組む。少人数の若手を抜擢し、概ね半年で事業の「種」案を作成し、種ごとにプロジェクトを運営して事業化を具体的に検討する。若手社員の教育も目的の1つで、短期間で入れ替えを行う予定。そうすることで新規事業を生み出す企業風土の創出にも期待する。 「デザイン思考」は論理的思考などにより潜在的ニーズにアプローチする手法。今春発売した家庭用冷凍食品で、離乳食から普通食の間にあるニーズを掘り起こす「ニコパク」シリーズなどがそれにあたる。 人材育成については「女性管理職の育成やグローバル人材だけでなく、社員1人ひとりの能力アップとその最大発揮の実現が必須。縦割り組織の課題も含め全社的な考え方をまとめたい」と方針を語った。 女性管理職の育成については、今年1月に「30%クラブジャパン」に入会しているが、「女性の社外取締役を増やすという形だけの目標達成ではいけない。現状で当社の比率は6%と低いが、女性がさらに活躍できる仕組みを作り、時間をかけてでも社内から女性役員を選出することがベストと考えている」とした。 海外人材については「コロナ禍で現地社員の育成の重要性が明確に表れた」として、事業ごとのグローバル人材を定義し、事業プランに基づいた候補者の採用や育成を推進する。入社時からの海外人材用のキャリアパスや教育手段も準備する。 4つの「キー」のほか、CSR、新たな働き方の取組みも強化する。 CSRについては社長を委員長に全執行役員が委員となってマテリアリティ・テーマ別に水産資源持続部会、プラスチック部会、環境部会など8つの部会による推進体制を築いた。新たな働き方への取組みについては「コロナ禍でいっそうクローズアップされた。新たな働き方で多様な人材が能力を発揮できる企業風土を作りたい」と方向性を示した。 既に本社では3月1日からそれまでの固定席を廃止してグループフリーアドレスを開始しており、「場所や時間に制限されずコミュニケーションが活発になることを期待している」としている。4つのキーの1つ「垣根を超える」ことの推進にもつながる。 今後はテレワーク環境等WEBのインフラ整備を行い、さらに東京近県にサテライトオフィスを新設して通勤時間の短縮等にも取り組む。 3年連続で健康経営銘柄に選定されていることも挙げ、従業員のEPA摂取を促進するEPAチャレンジや全社での禁煙デーなどは継続する。 各事業の今年度の方針も示した。 水産事業はまぐろ・国内養殖サーモン・かんぱち事業を黒字化して立て直し、ぶりや南米の養殖サーモンや飼料事業は強みをさらに拡大して収益の安定化と最大化を図る。 事業化のテストを進行中の岩手県大槌町サーモン養殖や弓ヶ浜水産米子陸上養殖センターのまさば循環式陸上養殖実証実験、頴娃(えい)実証試験施設でのバナメイえび閉鎖循環式陸上養殖については「まだフィジビリティスタディ段階だが、何とか事業化したい」とした。 食品事業の方針は「顧客価値の創造と社会課題の解決のために変化にしなやかに対応しよう!」。簡便調理の個食米飯・惣菜の強化等食スタイルの変化への対応だけでなく、「しなやかにというのは、協働という意味を含んでいる」として、健康訴求商品群の強化や環境課題の解決にも取り組む。 ファインケミカル事業はグローバル市場での成長をめざす。 海外事業については、日本発の販売は維持しつつも、ローカリゼーションを進め、エリアに根付いた事業を組み立てる方針。具体的には、ドイツにおけるチルド商品の販売スタート等を挙げた。アジアでは巨大市場である中国、アセアンの事業を拡大する。北米ではコロナ禍における事業構造の転換と生産性の向上を進め、白身魚フライの生産を拡大する。
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