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●豊洲卸前期決算 経費減少で4社増益
松田陽平
(週刊水産タイムス:21/05/24号)
豊洲市場の水産卸4社(大都魚類、丸千千代田水産、綜合食品除く)の2021年3月期決算が出揃った。前3月期は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言が2度発令されるなど、外食・業務筋向けを中心に水産物卸売事業は厳しい状況が続いた。取扱数量は減少し、4社ともに減収となった。一方、損益面については、集荷販売経費や旅費交通費・交際費など販売管理費が減少。貸倒引当金の戻り入れなどもあり、前期を上回る利益となった。
伊藤社長「余裕ない1年」中央魚類
中央魚類は水産物卸売事業における業務筋への販売減少により前期比3.2%の減収となったが、売上総利益率の改善や老朽固定資産の売却、補助金収入などにより増益となった。 伊藤晴彦社長は14日の決算会見で前3月期を振り返り「減収増益となったが、新型コロナウイルスの対応で1年が過ぎ去り、余裕すらなかった。経営の危機を感じるほどの1年だった」と厳しい表情を見せた。中央魚類単体で見ると、売上高は前期比約72億円減少した。 巣ごもり需要の拡大により売上総利益が当初見込みを上回ったのと同時に、集荷販売経費や、コロナ感染対策による旅費交通費・交際費などの減少、貸倒引当金の戻り入れなどがあり、大幅な増益となった。 水産物卸売事業は減収増益。セグメント利益の内訳は、水産物卸売事業で4億3200万円(前期比36.8%増)、冷蔵倉庫事業で4億5300万円(94.7%増)、不動産賃貸事業で5億1500万円(2.7%増)。
経費など減少で営業利益7%増 東都水産
東都水産は新型コロナウイルスの影響などにより前期比12.5%の減収となったが、保管料など販売諸経費の削減や人件費を中心とした一般管理費の減少などにより、営業利益は前期比7.0%増の14億3900万円となった。 在外子会社の第4四半期における業績が当初見込みを上回ったことや、貸倒引当金の戻り入れなどもあり、売上げ・利益ともに当初計画を上回った。 水産物卸売事業の売上高は12.4%減の970億1400万円。事業別の営業利益は水産物卸売事業で5億6000万円(前期比11.6%減)、冷蔵倉庫及びその関連事業で6億4500万円(33.5%増)、不動産賃貸で2億3400万円(3.2%増)。
粗利向上で黒字に転換 築地魚市場
築地魚市場は、水産物卸売業の売上高が減少したが、在庫の適正化と商流変化への対応により売上総利益率が向上、保管経費を削減した結果、損益面は黒字に転じた。 水産物卸売業の売上高は前期比50億3700万円減の653億3000万円、セグメント損失は1億6400万円(前期は10億1000万円の損失)。 冷蔵倉庫業の売上高は前年並みの11億3500万円、セグメント利益は2000万円増の2億800万円。豊洲市場内の冷蔵庫では、生鮮品の保管料売上げが減少したが、冷凍品の保管料売上げが増加した。
営業利益は7割増の1.5億円 前期並みか増収に期待 第一水産
第一水産は取扱数量の減少などに伴い、前期比13.7%の減収となったが、卸売業務の売上総利益率の向上、販売管理費の減少などにより営業利益は72.7%増の1億5400万円となった。 不動産賃貸収入を含めた売上高は13.7%減の358億6800万円。卸売業務の売上高は13.8%減の356億6200万円、不動産賃貸部門の売上高は14.4%増の2億600万円。 今期も引き続き新型コロナウイルスの影響により不透明な部分が多いが、売上高は前期並み、もしくは前々期並み(増収)、損益面は前期並み、もしくは増益を4社が計画している。
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