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●メーカー決算 通期で家庭用伸長、業務用苦戦
高橋尚徳
(週刊冷食タイムス:21/06/01号)
今期は外食の回復に期待
冷凍食品メーカー各社の前3月期は、コロナ禍に伴う内食需要の高まりで家庭用が伸長した一方、外食向けを中心に業務用が苦戦する構図が年間を通じて変わらなかった。利益面では出張経費の削減や、家庭用の主力品に生産を集中したことによる生産性の向上などで増益を果たした企業が多い。今期はV字回復といきたいところだが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束する気配がない。業務用市場の先行きは依然、不透明だが「外食市場の回復に期待したい」という声が少なくない。
ニチレイの加工食品事業は、家庭用調理冷食が伸びたものの、業務用調理冷食の落ち込みが大きく、減収となったが、営業利益は経費の抑制や海外子会社の業績改善が寄与して増益となった。全社では低温物流の貢献もあって営業・経常・当期純利益の各利益段階で最高益を更新した。 ニチレイグループの国内冷凍食品売上げは業務用調理冷食が落ち込んだ影響で4.1%減2202億4200万円と前年を下回った。
味の素冷食、減収も改革進めた
味の素冷凍食品は家庭用が伸長したものの、業務用が苦戦して減収。事業利益は業務用アイテムの削減などもあって減益となったが、黒崎正吉社長は「昨年度は事業構造強化を着実に進めた。2022年度までに改革を徹底し、次の中計が始まる23年度から真の成長、事業規模拡大に本格的に取り組む」と明らかにしている。 投下資本利益率(ROIC)は20年度の0.6%から、25年度には5%に引き上げる計画だが、餃子、焼売、デザートの強化や不採算アイテムの削減、戦略パートナーへの委託生産などを通じて「確実に達成できる」と見ている。 日本水産は国内の家庭用調理冷食が増収だったが、業務用調理冷食が減収となり、農産品と合わせて国内の冷凍食品は減収となった。一方で海外は好調で、家庭用調理冷食が18.4%増と2ケタ伸びた。 マルハニチロは、家庭用冷凍食品ユニットが米飯・麺・中華などの主力品のけん引により売上げが30億円増、営業利益も11億円増の増収増益だった。冷凍食品が中心の業務用食品ユニットは外食向けが苦戦して売上げが83億円減、営業利益も10億円減となった。 テーブルマーク(1〜12月)は家庭用が伸長したものの、業務用の外食向け、ベーカリー事業の販売減少で5.8%減1493億円(JTの加工食品事業)と減収で、減益だった。コロナ禍によるマイナス影響は110億円程度と見ている。今期の1〜3月は家庭用で特需があった前年の反動で減収、減益となった。
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