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今週の一本

●株主総会、少数・短時間で終了   (週刊冷食タイムス:21/06/29号)

感染防止策で「出席控えるように」

 大手食品関係上場企業の株主総会が先週相次いで行われた。感染防止対策のため、主催会社が株主に対し事前に「総会への出席を控えるように」と呼びかけたこともあり、会場に出席した株主は10〜30人程度と極端に少数。運営を短時間にするため、事業報告や関係数値等の説明を事前に送付した報告書に「記載の通り」とし、省略することが多かった。日本水産は新社長に交代する際に行われる総会終了後の新社長紹介を省いた。株主が冷食関連の質問をする場面も見られた。

ニチレイは53分で終了した
ニチレイ、事業機会創出めざす

 ニチレイは第103期総会を22日午前10時から、東京大手町のパレスホテルで開いた。大谷邦夫会長が議長となって報告事項と決議事項について、ナレーション、映像も使いながら約38分間説明した。
 この中で「対処すべき課題」について大櫛顕也社長が約10分間説明。全体戦略として「@国内は基盤強化や事業構造変革により収益力を向上A海外は事業規模拡大を加速B新規事業開発・研究開発の取り組み強化C業務プロセスの変革や新たな価値創造の取り組みD事業を通じて社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献E働き方改革・健康経営や多様な人材の活躍推進に注力する」と語った。
 セグメント別で加工食品については@新たな事業機会の創出Aカテゴリーごとの商品開発力・研究開発力を強化B北米を中心に海外事業の規模を拡大する、と計画を示した。
 1人の株主から2点の質問があり@ニチレイロジグループ本社を連結子会社化する考えの有無については大櫛社長が「他社とのアライアンスは常に考えており、企業価値が向上するとなれば対処する」と回答。A国際会計基準の導入計画については田口巧取締役執行役員が「メリット・デメリットを含め検討している」と回答した。
 全議案を可決した。定款で会長が務めていた株主総会・取締役会の招集・議長は取締役会が定めた取締役が招集・議長となると変更。取締役は社外1名を増員して11名となった。
 大谷議長が10時53分に閉会を宣言した。個人投資家を含め約30名が出席した。

日本水産、人間視点の開発着手

日本水産は「簡潔な進行とする」
 日本水産は第106期総会を25日午前10時から、東京日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで開いた。感染防止対策のため議長を務めた的埜明世社長は冒頭で「簡潔な進行とする」と説明。関係書類などの説明は「『招集ご通知』に記載の通り」と多くを省いた。
 前期の事業報告は事務局が添付書類を読み上げた。水産、食品などの事業別内容は省略。対処すべき課題については基本方針を的埜議長が説明し「21年度は体力をつけて、22年度から始まる新中計で成長を図る」と表明。開始から20分間で報告、説明を終え、株主からの質問を受け付けた。
 最初に立った株主は出席した非常勤を含む全役員がSDGsバッヂを付けている点を指摘した後、岩手県大槌町で開始した鮭養殖の現状を質問するとともに「有意義なこと。応援する」と語った。これについては高橋誠治取締役常務執行役員が回答。
 長く日水株を持っているという別の株主は株価改善と、もっと食べやすく工夫した食品開発を求めると質問。
 これについて的埜社長は「次期社長であり新中計の責任者でもある浜田晋吾代表取締役専務に回答させます」と指示。浜田氏は開発の方向について「私も同感、従来通りではいけないと今年、事業開発部を創設した。全く新しいものを創出する役割。中間報告が最近提出されたが、素晴らしい内容」と基本姿勢を説明。
 指摘された食品開発について「単なるモノを作るのではなく、メーカー視点、市場視点から離れ、人間視点で開発するデザインシンキングを3年前から始めた。幼児食、妊婦職などの取り組みが行われている」とし、次期中計で「水産、食品、ファインケミカルでも海外展開を積極的に進め、株価と企業価値をもっと高めたい」と考えを語った。
 開始から36分で採決となり、役員選任など3つの議案を承認。38分で閉会を告げた。恒例の新社長、新役員の挨拶は省略した。出席した株主は10名だった。

マルハニチロは40名が出席

 マルハニチロは第77期定時株主総会を東京芝公園のメルパルクホールで24日午前10時から開いた。約40名の株主が出席した。池見賢社長が議長を務めた。
 前期の事業報告は映像とナレーションを使った。
 「対処すべき課題」については、池見議長がコロナ禍の影響で家庭用食品が伸長する半面、業務用商品の落ち込みが大きいこと、漁獲量の低下や高級魚の魚価低迷、国内養殖魚の販売が振るわないことなどを挙げ、海外、加工、物流で増益が期待できるが、中期経営計画の最終年となる2022年3月期の業績は目標未達になると説明した。
 同社は複数の事業ユニットを分割・集約した上で、今期から事業セグメントを「水産資源」、「加工」、「物流」の3区分に集約した。
 池見議長は「水産資源事業」の構造改革を進めるとともに、家庭用冷凍食品や業務用食品ユニットなどで構成する「加工事業」では収益性を高めるために工場再編に取り組むとした。各ユニットのシナジーを追求し、バリューチェーンの強化をさらに進めるため、次期中計を策定中であることも報告した。
 株主4名が質問に立ち、@東都水産に対する株主提案の経過報告、Aコーポレート・ガバナンス体制、Bベトナムの水産加工会社サイゴンフードの子会社化の目的、C投資有価証券の償却と株主還元の考えの有無について聞いた。
 10時54分に終了した。

極洋、質問は株主優待関連1件

 極洋は第98回定時株主総会を東京・平河町の都市センターホテルで25日午前10時から開いた。個人投資家を含め約40人が出席した。
 事業報告は映像とナレーションで24分。計7議案をすべて承認した。
 株主1人から株主優待の制度設計に関する質問が出た。10時44分閉会した。

C&F、安喰氏ら新取締役選任

 C&Fロジホールディングスは第6回定時株主総会を25日午前10時から東京飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで開催した。出席した株主は約40名。
 議長の綾宏將社長は「対処すべき課題」として「物流施設の建設費用の上昇や情報通信技術高度化によるIT関連費用増加など、高品質な物流サービスを提供するためのコストが依然増加傾向が続いている」ことや「人材の確保」を挙げた。
 19〜21年度の第二次中計の基本方針「新たなインフラ整備と営業開発の推進」にも触れ、「TC(物流)、DC(保管)の各事業で新たなインフラ整備を進め、それらを100%活用した営業開発を推進し、物流品質のさらなる向上をめざす」とした。
 質問は1名から1点。原油価格の高騰の影響を問う株主に、綾議長は「少なからず影響があるが、見通しが難しい」と率直に答えた。武藤彰宏専務は「原油価格が1円高騰すると年間3千万円のコストアップになる」と説明した。
 3つの議案@剰余金処分A取締役7名選任B監査等委員の取締役4名選任の件を全て承認した。開始から約24分で閉会後、新任取締役の矢田市郎氏、安喰徹氏を紹介した。

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