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今週の一本

●味の素冷食の1Q キロ単価6%改善  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:21/09/14号)

構造強化は着実に推進、タイチキンは今月から一時休売

黒崎社長
 味の素冷凍食品は第1四半期の業績と第2四半期以降の取り組み方針を8日、リモートで記者発表した。
 黒崎正吉社長は今年度最重点課題に挙げている事業構造強化について「1Qは着実に推進できた」と説明。特にポイントとなる事業収益について「計画を上回る成果を得た」とし、取り組んできた@高付加価値化、高単価化A業務用とコンビニ・大手外食チェーン等のキーアカウント向け不採算商品の終売B安定生産とコストダウン――の効果で改善が進んだと指摘した。市販用商品の1kg当たり単価は約6%向上した。
 1Qの国内外の業績と通期計画などにつき数値を示しながら詳しく説明した。
 黒崎社長と下保寛専務、羽賀俊弘執行役員経営企画部長が登壇。石アカロリーナ真喜戦略コミュニケーション部長が進行した。
 下保専務は@ワーカー等の感染者拡大に伴い、労働者不足のためタイ産チキン製品を市販用、業務用とも9月中旬から一時休売するA東京五輪で話題を集めた選手村の餃子は5年がかりのプロジェクトで取り組んだB秋の新製品では大幅刷新した餃子類と「ザ★ハンバーグ」に流通から高い評価を得ている、と紹介。餃子でCMを秋投入する。
 下保専務によれば「生活者が初めて冷凍食品を購入する商品がうどんから餃子に変わってきたことがデータに表れている」という。そこで流通関係者に餃子を中核とした売場拡大と市場活性化を提案し、理解されていると説明した。餃子は五輪で話題となって8月の売上げは7〜8%増えたが「前年の同時期は“手間抜き論争”で2ケタ伸びており、前々年比では3割近く伸びた」という。

1Qのグループ利益は25億円に

 第1四半期(4〜6月)のグループ全体の冷食事業利益は前期比8億円減の25億円(利益率4.8%)だった。味の素が7月末に発表した決算では前期比9億円減の「9億円」としていた。
 黒崎社長によれば、利益25億円のうち全社共通費が14億円、味の素の食品事業本部共通費が2億円あり、差し引き9億円。前年同期の34億円の利益に対しては8億円減、利益率は前年の6.9%から2.1ポイント下回った。前々年に比べると利益額は1億円プラス、利益率は0.1ポイント上回った。
 グループ全体の冷食売上げは8%増525億円、19年度と比べると2%増。
 このうち味の素冷凍食品の1Qの売上げは1%増254億円、利益は4億円減の21億円、利益率は1.6ポイント下回り8.4%。しかし19年度比では5億円の利益額増、利益率も2.3ポイント増と改善している。
 味の素冷食の1Qの市販用売上げは前年比4%増、19年度比で12%増。業務用は6%増と回復しているが、19年度比では32%減。CVS.大手外食などを含む「キーアカウント」は外食市場低迷などにより16%減、19年度比でも26%減とまだ厳しい。同社管轄の海外は22%増、19年度比でも47%増と大幅増加。

北米は人件費等の高騰で値上げ

 味の素が管轄する味の素フーズノースアメリカ社(北米)の1Q売上げは14%増266億円と好調だが、利益は9億円減の3億円。利益率は4.1ポイント減の1.3%。北米事業は利益構造転換を進めている。人件費、原材料費、物流費が大幅に上昇しているため、市販用、業務用ともに製品価格の引き上げを行う。
 欧州の冷食事業は黒字化に向けて取り組みを進めており「22‐23年度で確実に黒字化を実現する」(黒崎社長)。欧州のグループ冷食売上げは100〜110億円規模に拡大しており「市販用、業務用とも売上げは順調」だが、損益は今期もマイナス予算。「第1四半期は小さな黒字となったが、7月に再び赤字となった」。そこで構造改革に取り組んでいる。

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