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今週の一本

●未来の食卓を守る「サステーブル」開幕  栗原浩太 (週刊水産タイムス:21/09/20号)

磯焼け畜養ウニを一流シェフが調理

 大丸有SDGsACT5実行委員会が展開する「SUSTABLE(サステーブル)」の第1回イベントが東京都千代田区の常盤橋タワー「MY ShokudoHall&Kitchen」で14日開催された。テーマは「<ウニノミクス>海の生態系保全のためにウニを陸上で畜養する画期的な取り組み」。約30人が参加したほか、ライブ配信も行われた。

ウニを調理する
ステファノ氏(右)と當間氏
参加者に提供したウニ料理
武田CEOはノルウェーからウェブ参加
 磯焼けウニの畜養事業を展開するウニノミクスの武田ブライアン剛CEOや、同社との協業を志向している農林中央金庫食農法人営業本部の朽木一彦食農金融部部長(水産担当)らが登壇。海の豊かさを守るサステナブル・フードの魅力や事業の特徴などについて説明した。

輸出も視野に

 ウニノミクスは可食部が無く、売り物にならない空ウニをウニ専用飼料と独自の陸上蓄養技術で育て、食用として販売するもの。武田CEOは「日本人が消費する75%以上のウニは輸入品。この事業により国内生産や地産地消の促進をめざす」と事業の社会的意義を強調した上で、「シンガポールや台湾など日本産ウニを高く評価する国は多い。国内の需給バランスが安定した後は、外貨獲得に寄与する貴重な輸出商品となり得る」と将来性を示した。
 会場キッチンでは、有名イタリア料理店「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」のステファノ・ダル・モーロ総料理長と當間一貴東京店料理長が、ウニノミクス社の畜養ウニを実演調理した。
 ステファノ氏は「パンやオリーブオイル、トマト、塩などを使用し、ウニの味が口の中に残るように、できる限りシンプルに仕上げた」と説明。試食をした参加者は「とても甘く、素材の味を感じた。ウニのおいしさを改めて実感した」と笑顔を見せた。
 当日使用したウニは、ウニノミクス関連会社である大分うにファーム(大分県国東市、栗林正秀代表)で畜養したもの。関係者によると、「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」東京店でもウニノミクス社の畜養ウニを使用することが決まったという。
 朽木部長は試食開始前に「このウニを食べることで、大分の資源回復に貢献できる。その一翼を担っていると認識したうえで味わうと、一層おいしく感じていただけるはず」と呼び掛けた。
 「大丸有SDGsACT5」は三菱地所や農林中央金庫、日本経済新聞社ら大丸有内外の企業・団体が連携し、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向け2020年に始動したプロジェクト。「サステナブル・フード」「気候変動と資源循環」「WELL-BEING」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コミュニケーション」をテーマとし、具体的なアクションを通じて、社会課題解決型コミュニティの形成を推進している。
 「サステーブル」は未来の食卓(テーブル)に持続可能性(サステナブル)に配慮した食材が並ぶ姿をめざすために名付けた造語。食従事者と消費者が集い、サステナブル・フードの背景や生産者の思い、おいしさを共有することで、未来の食卓に変化を起こすきっかけを提供する。

食生活に変化を

 大丸有SDGsACT5実行委員会メンバーである三菱地所のサステナビリティ推進部プロモーションユニットの長井頼寛副主事は冒頭挨拶で、「スーパーに行った時にサステナブル・フードを探してみるなど、当イベントに参加された皆様の生活に何か変化が生まれたらうれしい」と語った。
 次回は10月4日に開催。テーマは「環境や生態系の保全に配慮した漁業・養殖の認証制度」。
 MEL認証を運営するマリン・エコラベル・ジャパン協議会の垣添直也会長や、東町漁協(鹿児島県)の長元信男組合長らが登壇する。

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