冷凍食品(冷食)・冷凍野菜・お弁当の売上・取扱ランキング・ニュース

水産タイムズ社
トップページお問い合わせサイトマップ
今週の一本

●水産大手年末会見、アフターコロナに照準  井出万寿男 (週刊水産タイムス:21/12/06号)

持続的成長への意欲示す

「体質強化で次期中計へ」 日本水産 浜田社長

会見する浜田社長

 日本水産の浜田晋吾社長は年末会見をオンラインで1日行い、事業環境やニッスイグループの動き、2022年度以降の展望などを語った。
 第2四半期(4〜9月)の業績は海外の水産・食品、国内の水産が好調で大幅な増収増益となった。今後もめまぐるしい事業環境の変化や新型コロナウイルスの影響、人件費や原料コストアップなど、様々な懸念材料はあるものの、「体質強化をさらに進め、通期の営業利益・経常利益は過去最高益をめざす」と述べた。
 同社は直近10年、不採算事業の整理や養殖事業の高度化、欧州・北米事業の拡大、国内チルド事業の拡大などで順調に利益を拡大してきた。その中で浜田社長は「利益体質になってきたが、踊り場を迎えているのも事実。原点に立ち返り、再成長をめざす。その第一歩が次期中計(来年4月に発表予定)」と位置付けた。
 「体質強化」を掲げた21年度は、国内養殖事業(マグロ、ブリ、銀鮭、カンパチ)の収益改善や国内チルド事業では新規カテゴリーへの参入を図るための工場集約・再配置を進めている。

新設「事業開発部」の役割に期待

 今年3月に新設した社長直轄の「事業開発部」の進展については「全く新しいことにゼロから挑戦する部署。新規事業に関する情報収集、戦略策定、効果分析と事業提案などを行う。若手社員からダイナミックな案が次々と出ており、毎日がドキドキの連続。一過性の取り組みではなく、社内にアントレプレナー(起業家)の精神風土を定着させたい」と期待を込めた。
 高橋誠治専務(水産事業執行)、梅田浩二常務(食品事業執行)、山下伸也取締役(ファインケミカル事業執行)も同席し、事業概況と今後の計画などを説明した。 

「業績堅調も余談許さず」 マルハニチロ 池見社長

池見社長

 マルハニチロの池見賢社長は年末会見を2日、東京・豊洲の本社で行い、今年を振り返っての所感と来年の抱負を語った。粟山治専務(水産事業統括)、半澤貞彦専務(食品事業統括)が同席した。
 池見社長は「社長就任2年目の今年もマルハニチロ魚栄会、食品のお客様懇談会が中止を余儀なくされ、主要取引先とコミュニケーションで制約を受けたが、国内の新型コロナウイルス感染者数が減少し、10月からは徐々に動きを再開した」と説明。上期(4〜9月)の業績は増収増益で折り返したものの「ここへきて原料高、物流費高騰などのコストアップ要因が重なっている。タイ、ベトナムの加工拠点は今もコロナの影響を受け続けており、コロナも新株の発生で未だ油断できない状況。今後の様々な懸念材料を考慮した上で通期目標は据え置いた」と慎重な姿勢を示した。
 業務面では「就任当初から“強い組織づくり”に努めてきた。コロナ禍の中で働き方改革はかなり浸透し、無駄の排除や効率化といった業務改革も進めている。明年もこの動きを加速させたい」と意欲を示した。
 また事業で直面している課題として海外まき網や完全養殖マグロの収支改善を挙げ、「海まきは5ケ統から3ケ統と操業隻数を減らして効率化を図った。完全養殖マグロも生産性を高めるための研究を水産研究・教育機構と共同で行っている。荷受ユニットについては大都魚類を完全子会社化し、マルハニチロ本社と組んだ販売体制を固めているなどと説明した。

新中計は「企業価値の向上」を加速

 来年度からの新中期経営計画については「企業価値の向上と持続的成長が柱。社会・環境・経済価値をさらに高め、事業面では水産・食品の強みを融合させてグローバルに展開していく。海外への資源アクセス強化にも従来以上に力を入れる」と述べた。

水産タイムス 冷食タイムス
(C) Copyright 2004-2015, Suisan Times Co., Ltd. All Rights Reserved.
当サイトに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。  お問い合わせ |サイトマップ著作権・記事使用・リンク・個人情報の保護などについて>>