●獲り過ぎない努力で資源安定 勝浦沖キンメ釣り漁業操業は4時間、エサも制限 ルール定め持続漁業を実現
資源保護と秩序維持 千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合は昭和41年に発足。御宿・岩和田から鴨川・江見までの16船団が所属。そのうちキンメ釣り漁業を行うキンメ部会所属船は14船団・約207隻(313人、2020年度)で構成されている。 効率の良い漁法はすべて禁止
漁法はたて縄漁法限定。たて縄釣りの道具は1人あたり1本に限定。操業時間は4時間。操業時間はかつて8時間だったが、漁獲状況に応じて徐々に短くなっている。針の数は1回目が150本、2回目以降は50本以内と定められている。 毎週土曜日は休漁。全長25p以下のキンメは再放流する。 夜間操業や樽流し(釣り道具をセットした樽を多数使用する漁法)、地獄縄(枝縄に2個以上の釣り針を付ける漁法)、集魚灯使用など、効率の良い漁法は獲りすぎ防止のためすべて禁止にしている。 釣り餌は短冊切りにしたイカを赤く染めたものが主流。イワシやサンマの使用は禁止。理由は「釣れ過ぎてしまうから」。 操業ルールを守らず違反した場合は、違反した漁船が所属する船団のすべての船が1日操業を自粛しなければならない。 操業ルールが現状に合わなくなった場合や何か問題が発生した場合は、キンメ部会で速やかに協議する。まずは各船団で話し合い意見をまとめ、その後、船団長代表者会議で協議する。重要なポイントは全員の承認を得た上で操業ルールを定めているところにある。 「最終決定は多数決では行わず、反対している人が納得するまで話し合う」(鈴木組合長) 同漁協では勝浦沖でのキンメダイの標識放流を自主的に1983年から実施している。資源を守るため、生態調査を重要視している。キンメダイに番号付きのタグを付けてリリース。タグ付き魚が釣れた時期や場所などデータを収集している。 昨年6月にキンメ部会長に就任した三上次雄氏は「我々には次の世代のため、海に魚を残す責任がある。魚が減り、漁師が減ってしまえば、関係者を含め地域全体が廃れてしまう」と語る。 キンメダイの主要生産地は千葉県のほか、静岡県や神奈川県、高知県、東京都など。長年静岡県がキンメダイの水揚げ日本一を誇っていたが、2019年は千葉県(1219t)が静岡県(1210t)をわずかに上回った。 組合の広報担当を務める今井和子さんは、鈴木組合長にお願いされて、持続可能な漁業を実現する同組合の様々な取り組みについてイラストを使ってわかりやすく伝える役割を担っている。「漁師のつぶやき」と題して、イラストを描き、たくさんの人に見てもらうように発信している。 勝浦沖漁場で漁獲したキンメダイは、漁獲から流通までの鮮度管理を徹底し、平成27年に「外房釣りきんめ鯛」として千葉ブランド水産物に認定された。 |
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