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今週の一本

●アサリ産地表示 「長いところルール」厳格化  松田陽平 (週刊水産タイムス:22/03/21号)

 消費者庁と農林水産省は18日、アサリの不適正な産地表示問題について対応し、産地表示適正化に向けた対策を発表した。消費者庁の食品表示基準Q&Aを改正し、原産地表示のいわゆる「長いところルール」の適用の厳格化を行い、貝類の蓄養については同ルールの育成期間に含まれないことを明確化した。これにより、輸入したアサリの原産地は一部例外を除き、蓄養の有無にかかわらず輸出国となる。

蓄養は期間に含まない

 「長いところルール」とは、畜産物や水産物などで、飼育や養殖の期間が最も長い地域(国)を原産地として表示するルール。これまで、出荷調整や砂抜きのため国内で一時的に蓄養した輸入アサリが「長いところルール」の悪用により、国産として一部販売されてきた。
 農水省によると、アサリ稚貝を輸入・放流し、その成貝を採捕している実態は確認されていないため、輸入アサリの原産地は輸出国を表示することとなる。ただし、例外として輸入したアサリ稚貝を区画漁業権に基づき1年半以上育成(養殖)し、育成に関する根拠書類(輸入アサリの通関証明や小間ごとの導入日付・収穫日付、区画漁業権の登録済証など)を保存している場合は、国内の育成地を原産地として表示することができる。1年半未満の育成期間の場合は輸出国を表示する。
 国産アサリの原産地表示については、漁業の場合は採捕地名を表示。育成(区画漁業権による養殖)の場合、育成(養殖)期間が最も長い場所を表示する。

アサリの原産地調査 中国産が7割に

 国内の他地域からアサリ稚貝を導入する場合、輸入したアサリを放流したことと区別するため、アサリ稚貝の根拠書類(稚貝のアサリの採捕履歴・出荷伝票など)の保存が必要となる。
 農水省は今回発表した対策の効果を測るため、改正Q&Aの施行1カ月後をめどに、アサリの産地表示の状況に関する点検調査を再度実施し、結果を公表する予定。
 農水省は、広域小売店におけるアサリの産地表示の点検調査を2月16〜22日実施し、調査結果を18日公表した。
 農水省は昨年10〜12月にかけて、広域小売店(1005店舗)を対象にしたアサリの産地表示の実態調査を実施。調査の結果、「熊本県産」として販売されていたアサリに外国産が混入している疑いがあることを公表すると同時に、食品事業者に対し、産地伝達の確認や法令順守の徹底を要請した。また、熊本県は「熊本県産アサリ緊急出荷停止宣言」を発出した。
 これらを背景としたアサリの産地表示の現状を確認するため、実態調査を実施した同一の広域小売店(999店舗、6店舗は廃業・休業)を対象に2月16〜22日、点検調査を実施した。
 点検調査の結果、アサリが販売されていない店舗の割合は42.5%(425店舗)で、実態調査(17.5%)よりも高くなった。
 アサリが販売されていた店舗での原産地別の販売割合は中国産74.7%、北海道産15.1%、愛知県産4.9%、その他国産3.4%、韓国産2.0%となった。実態調査(熊本県産が79.2%)で確認されていなかった中国産が、点検調査では北海道、島根県、沖縄県を除く44都府県で販売されていた。

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