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今週の一本

●前3月期決算 コスト高が収益圧迫   (週刊冷食タイムス:22/05/17号)

値上げの浸透がカギに

 有力冷食メーカーの前3月期決算は家庭用の伸長が続き、業務用も前年比では回復基調にあるが、原材料・動燃料費の高騰、海上運賃の上昇、円安などによるコスト高が収益を圧迫している。昨年から各社は値上げを公表している。コストアップ分を自助努力だけでは吸収できない状況になっている模様。今期は値上げを浸透させて収益力の向上を重点施策の1つに掲げている企業もある。

ニチレイ、加工食品増収も減益

 ニチレイの冷凍食品をメインとする加工食品事業の売上高は家庭用・業務用調理冷食ともに伸びて8.3%増2442億3600万円と増収だったが、新型コロナに伴うタイの工場の稼働低下や原料高騰・海上運賃の上昇などで17.0%減142億4400万円と減益だった。
 家庭用調理冷食は9.1%増768億2300万円と増収。「本格炒め炒飯」を中心に販売数量を伸ばしたほか、新商品も寄与した。
 業務用調理冷食は6.6%増926億4400万円と回復。主力のチキン加工品や食肉加工品が好調だった。
 農産加工品(冷凍野菜)は1.0%増199億6900万円と前年並み。ブロッコリーなど「そのまま使える」シリーズが伸長したが、枝豆類が低調だった。
 海外(1〜12月)は17.2%増408億3400万円と2ケタ伸びた。北米イノバジアン・クイジーン社の家庭用主力商品の取り扱いが伸長した。

味の素、事業利益6億円の損失

 味の素の冷凍食品セグメントの売上高は国内が減収だったものの、海外が販売増と円安による大幅増で11.8%増2217億円と2ケタ増収だったが、事業利益は北米の原料コスト・物流コスト増が響き、前年の23億円から6億円の損失となった。
 国内は高付加価値製品の販売が伸びたが、構造改革に伴う終売などの影響で減収。事業利益は前年並みにとどまった。

マルハN、家庭用冷食増収減益

 マルハニチロの加工セグメント(5ユニット)の売上高(収益認識適用後)は前年比138億円増の296億円、営業利益は3億円増の78億円と増収増益で着地した。
 このうち家庭用冷凍食品ユニットは内食需要の継続などにより、米飯や麺、グラタン類、中華惣菜などの主力商品が伸長し、売上高は17億円増の529億円と増収。反面、原材料や海上運賃、エネルギーコストの上昇により、営業利益は5億円減の15億円と減益となった。
 業務用食品ユニットはコロナの影響が依然として残るものの、量販店惣菜、コンビニエンスストア、介護食向けが堅調に推移し、売上高は98億円増の1207億円、営業利益は10億円増の21億円と増収増益となった。

日本水産、業務用冷食が2割増

 日本水産の個別(国内)の冷凍食品売上高は家庭用が2.9%増368億円、業務用が19.6%増439億円、農産冷食は6.2%増98億円といずれも増収となった。家庭用は唐揚げとちゃんぽんなどの麺類が伸び、業務用は水産フライなど量販店惣菜が好調に推移した。
 練り製品と常温食品を加えた食品事業全体では7.9%増1388億円。国内食品事業の営業利益はコスト増などにより第3四半期から前年実績を下回るようになり通期も減益。うち、チルド事業はコンビニ向けチルド弁当やおにぎり等の販売が改善し、経費削減効果もあって増益となった。
 連結業績に含まれる海外の冷食事業は22.4%増928億円と大きく伸びた。海外の家庭用冷食は9.9%増421億円、業務用冷食は35.2%増507億円となり、国内と海外を合わせた冷凍食品売上げは前年の1482億円を253億円(17.1%増)上回る1735億円に伸長した。
 連結業績は水産事業、食品事業のいずれも売上げを拡大して増収増益。
 売上高12.8%増6936億8200万円、営業利益50.4%増270億7600万円、経常利益42.8%増323億7200万円と大幅な増益を果たした。期中に減損要因があり純利益は20.0%増172億7500万円。

極洋、食品セグメント減収減益

 極洋の食品セグメントの売上高は前年比1.9%減の968億8300万円、利益は37.9%減の10億4600万円と減収減益となった。
 同社は昨年4月の機構改正で冷凍食品(業務用と市販用)と常温食品(缶詰)を統合し、食品セグメントとしている。
 業務用冷凍食品は寿司種をはじめとする生食商材は一定の販売を確保したが、コロナの感染症拡大の影響等により、外食・給食ルートで主力の水産フライ製品を中心に販売が減少した。
 市販用冷凍食品は煮魚・焼魚の東南アジア工場における生産量が一時的に減少したものの、ドラッグストア向けの販売が伸長した。缶詰は巣ごもり需要が一服し、主力量販店での売上げが減少した。
 全社ベースの連結業績は売上高1.8%増2535億7500万円、営業利益37.2%増63億9200万円、経常利益41.5%増69億400万円、純利益20.7%増46億3400万円。「コロナ禍で堅調な内食需要を取り込んだ水産商事事業がけん引した」(同社)結果、営業利益と経常利益が大幅増となり、過去最高益を更新した。

日東ベスト、冷凍食品15億円増

 日東ベストの冷凍食品売上げは前年比14億7900万円増(3.9%増)の396億5500万円となった。日配食品は7400万円増の75億1800万円、缶詰7億400万円減の25億7200万円。
 連結売上げは497億4600万円。収益認識に関する会計基準を前期から適応しており前年比は算出していないが、前期の売上げ488億9700万円に対し1.7%増。外食分野が前年より増加したのが増収要因。
 売上げ増と経費抑制などで営業利益は13.5%増8億4300万円と増益だが、経常利益は0.2%減9億800万円、純利益は13.3%減6億700万円となった。
 今期は売上高11.6%増555億円、営業利益6.7%増9億円、経常利益10.1%増10億円、純利益7.0%増6億5千万円と増収増益を見込んでいる。

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