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今週の一本

●少量多品種生産時代の幕開けか  高橋尚徳 (週刊冷食タイムス:22/09/20号)

「@FROZEN」を見て

 イオンリテールが千葉県浦安市の「イオンスタイル新浦安MONA」内に開業した新業態「@FROZEN(アットフローズン)」が冷凍食品業界で話題になっている。872u(264坪)と、それほど広くない売場の約半分を占めるスペースに1500品目の冷凍食品を品揃えした。イオングループの店舗には1千品目を揃えるGMS店舗が複数あるものの、1500品目はグループで最大規模という。
 「@」は英語の「at」が場所を示すのと同様、「冷凍食品といえばこの店」と認知される、専門性の高い冷凍食品の代表的存在をめざす意味と、「アッ」と驚くような冷凍食品、という2つの意味を込めた。
 コンセプトは朝食、ランチ、ディナー、つまみ、スイーツとあらゆる食シーンに対応すること。フランス発祥の冷凍食品専門店「ピカール」の商品を扱うことができるのもイオングループならではの強み。電子レンジで加熱するだけの簡便調理品はもちろん、ひと手間が必要なミールキット、素材に近い肉、魚、野菜に加え、幼児食、高齢者食など多様なライフスタイルに対応している。
 目を見張るのは1500品目のうち、半分がイオングループで初めて導入した商品という点。大手メーカーのNB品もあるが、主役はオリジナル商品という印象が強い。
 コロナ禍を機に冷凍食品市場への新規参入が増えたことも、これだけの品揃えを可能にした要因の1つと思われる。
 今や、街のラーメン店が小型の冷凍機を導入し、店先の冷凍自販機で冷凍ラーメンを販売する時代になった。冷凍食品市場への参入障壁は限りなく低くなった。
 振り返ってみると、冷凍食品業界は手作業が中心だった黎明期から今日まで、機械化・省人化を進め、ローコストで大量生産することに心血を注いできた歴史がある。この先、日本の人口は減少し、胃袋が減ることが明らかになっている。多少価格が高くても、いい物をちょっとだけ食べたいというニーズはすでに顕在化しているが、さらにその方向に進むだろう。単品を大量生産する一方、多様化するニーズに応えるため、少量多品種生産がさらに求められる時代がすぐそこに来ている気がしてならない。
 「@FROZEN」に話を戻すと、東京23区内の世田谷区や杉並区といった、人口密度が高い住宅地に出店した方が良かったのではないかと思うが、そこは販売のプロが浦安市を最適な立地と判断したのだから、何らかの商機を見出しているに違いない。

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