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今週の一本

●大手水産年末会見 企業価値の向上めざす  井出万寿男 (週刊水産タイムス:22/12/12号)

ニチレイグループ 大櫛社長「新たなステージへ」

ニチレイグループの年末会見に臨む
(左から)竹永・大櫛・梅澤・田邉社長
 ニチレイグループは年末会見を東京・築地の本社で6日行い、ニチレイの大櫛顕也社長が来年の展望を示したほか、ニチレイフーズ(加工食品)の竹永雅彦社長、ニチレイフレッシュ(水産・畜産)の田邉弥社長、ニチレイロジグループ本社(低温物流)の梅澤一彦社長が事業概況と今後の取り組み方針を語った。
 大櫛社長は、2021年に設定したニチレイグループKPI(重要業績評価指標)の「食と健康における新たな価値の創造」「食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化」「持続可能な食の調達と循環型社会の実現」「気候変動への取り組み」「多様な人財の確保と育成」――について、着実に進めている状況を説明。「豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしながら、引き続き社会的価値と経済的価値の向上をめざす」と強調した。

MSC・ASC商品の扱いを拡大

 業績面では「第2四半期(4〜9月)は円安やコストアアップが影響し、増収減益で折り返した。前年度は初めて売上高6000億円を超えたが、通期目標の達成とともに、中期経営計画を踏まえた新たなステージをめざす」と意欲を示した。
 ニチレイフレッシュの田邉社長は「水産・畜産ともに外部環境の変化を大きく受けている。円安で調達コストが大幅に上昇しており、加工度と付加価値を高めながら差別化を図る。水産では環境に配慮したMSC・ASC商品の扱いを拡大する」との方針を示した。
 ニチレイロジの梅澤社長は、物流ネットワーク事業、地域保管事業の売上げが堅調に推移しているものの、「燃料価格高騰に伴う電力コストの上昇が減益要因になっている」と説明。その対応策として「お客様の理解を頂いた上で、電力料金の高騰に応じたサーチャージ制を順次導入していく」と説明した。

マルハニチロ 池見社長、中計達成に意欲 冷食・介護食強化

会見する池見社長
粟山専務
半澤専務
 マルハニチロの池見賢社長は年末会見を東京・豊洲の本社で6日行い、今年を振り返っての所感や来年度に向けた抱負を語った。
 同社は中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」をスタート。池見社長は今年の象徴的な取り組みとして、@北米スケソウダラ漁獲枠の獲得A欧州での水産物流通と販売強化Bサーモン陸上養殖の取り組みとブルーボンドの発行――を挙げた。
 業績面では2023年3月期第2四半期(4〜9月)で「売上げから利益まで、すべての段階で過去最高になった」とし、通期見通しを上方修正するなど、中計の目標値達成に意欲を示した。一方、広島工場の火災により第2四半期決算で22億円の特別損失を計上したことにも触れた。
 来年度に向けては「引き続き厳しい事業環境だが、中期経営計画で掲げる成長ドライバー領域としての海外市場への展開拡大や冷凍食品・介護食品の強化に取り組む。経営基盤を強化するため、特にDX、人事政策の取り組みを加速させる」と強調した。
 新たな取り組みとして、魚の多様な価値を広く発信する「サカナクロス」を紹介し、企業ブランディングの強化に引き続き取り組む決意を示した。
 中長期的には「経営戦略とサステナビリティを統合した取り組みを着実に実践していくことで企業価値の最大化をめざす」とし、「海といのちの未来をつくることが当社の使命。変革の時代を見据え、地球とともに生きてきた企業として発展を続け、人々の健康としあわせに寄り添い、世の中に貢献していく」と述べた。
 会見には粟山治専務(水産事業統括)、半澤貞彦専務(食品事業統括)が同席し、それぞれの事業概況と今後の見通しについて説明した。

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