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今週の一本

●大手水産第3四半期 増収基調 下期も継続  井出万寿男 (週刊水産タイムス:23/02/13号)

 通期の業績動向を事実上決するといわれる2023年3月期第3四半期決算(4〜12月)が出揃った。大手水産各社は第2四半期以降も水産事業で魚価高が継続したが、食品事業は原材料をはじめとするコストアップに値上げが追い付かず、減益要因となった。

マルハニチロ 水産けん引し増収増益

 マルハニチロ(東京都江東区、池見賢社長)は堅調な魚価の中で好調な販売が続いた水産資源事業がけん引して増収増益となった。
 水産資源事業は各ユニットが軒並み増収増益となり、売上高は4582億7400万円で前年同期比24.7%増、営業利益は194億6400万円で55.9%増。
 漁業ユニットはメロなど主要魚種の販売が好調。養殖ユニットは価格が回復したブリ、カンパチの販売が増加。マグロ相場も上昇した。
 水産商事ユニットは外食・業務用向けの販売回復、水産物全般の堅調な魚価に支えられた。海外ユニットは北米で新たに獲得したアラスカのスケソウダラ資源が生産増に寄与。堅調なマーケットの中で販売価格も上昇した。欧州は水産物需要拡大に対応した仕入れ・販売やイギリス水産加工販売会社の買収、オランダの食品卸会社への追加出資による子会社化が増収増益に貢献した。アジアはタイのペットフードが北米向けに販売好調、ドル高バーツ安も追い風となった。

ニッスイ 水産事業が大幅増益

 ニッスイ(東京都港区、浜田晋吾社長)の水産事業は売上高が2488億円で前年比309億円増、営業利益は173億円で60億円増。
 国内の養殖事業は養殖ブリの供給が少ない市場の中で完全養殖の強みを発揮。銀鮭の養殖場拡大による販売数量増に加え、各魚種とも販売価格が堅調に推移した。南米も銀鮭の生残率改善に加えて販売価格上昇が、イケス繰りによる生産数量の減少や飼料などのコスト上昇をカバーした。
 北米はスケソウダラの漁獲枠が減少したが、販売価格の上昇で増収。人件費などのコスト上昇をカバーした。
 食品事業は家庭用・業務用食品ともに値上げしたことで増収となったが、原材料やエネルギーコストに加え、急激な円安に値上げが追いつかず減益となった。

極洋 営業利益42%増で目標達成

 極洋(東京都港区、井上誠社長)は水産商事、食品ともに減益だったが、年末商戦でマグロの販売が好調だった鰹・鮪セグメントの健闘で大幅増益。前年同期比42%増の81億円を計上し、通期目標の70億円を超えた。
 鰹・鮪セグメントの営業利益は46億4600万円(同558%増)。
 クロマグロ、インドマグロを主体とした年末販売が順調だったことに加え、回転寿司ルートを中心に加工品が好調。国産養殖クロマグロも収益を確保した。海外まき網事業は船の燃料費が増加しているものの、市場全体として水揚げが減少したことによる引き合いの高まりからカツオの魚価が上昇し、収支が改善した。
 上半期は好調だった水産商事セグメントは相場上昇を受けて水産物需要が減退。年末商戦ではサケ、エビ、カニの取扱いが前年割れとなった。
 食品セグメントは業務用冷凍食品の販売が拡大したが、原料高騰によるコスト増加分を補うことはできなかった。

ニチレイ 増収もコスト増で減益

 ニチレイ(東京都中央区、大櫛顕也社長)は加工食品事業と低温物流事業が増収に貢献したが、原材料コストやエネルギーコストの高騰が減益要因となった。
 低温物流事業の売上高は1839億円で前年同期比9.5%増、営業利益は115億円で5.6%減。物流ネットワーク事業や地域保管事業、海外事業がいずれも増収となり、業務改善や運送効率化などの施策も進んだが、燃料価格高騰に伴う電力コストの上昇や再保管に伴う一時的なコスト増加などが利益面で響いた。
 水産事業の売上高は547億円で前年同期比1.9%増、営業利益は8億9800万円で37.1%減。主力のエビを中心に外食向けの販売が好調に推移したが、利益面ではタコの取り扱いが好調だった前年の反動で減益となった。
 加工食品事業は原材料費高騰、円安による仕入れコストの増加、生産工場におけるエネルギーコストの大幅な上昇が響いた。価格改定効果やタイ子会社の業績回復があったものの、マイナス要因をカバーするには至らなかった。

東洋水産 全セグメントで増収

 東洋水産(東京都港区、今村将也社長)は原材料価格や動力費の高騰でコストが増えたが、6つのセグメントすべてで増収となり、全体でも増収増益となった。
 水産食品事業はコンビニエンスストア向け商品を中心に販売数量が伸長。すり身、銀鮭商品の販売も好調に推移し、増収を確保したが、セグメント利益は仕入れ価格の高騰や数量減少などで半減した。魚卵は世界的な需要増加と海外漁場の不漁により仕入価格が高騰。マグロは燃油価格高騰の影響で漁獲量が減り、原料価格が高騰した。
 冷蔵事業は増収減益。業務用商品の保管在庫や配送品の取扱いが増加。冷蔵倉庫料金の価格改定を進めたことで売上高は増えたが、動力費や庫内作業人件費などのコストが増えた。
 海外即席麺事業は増収増益。国内即席麺事業と低温食品事業は増収だが、広告宣伝費、動力費が増加して減益となった。加工食品事業は売上高の増加と減価償却費の減少で増収増益。

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