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今週の一本

●フィード・ワン 無魚粉飼料の販売開始  松田陽平 (週刊水産タイムス:23/08/21号)

「補償成長」解明へ大規模検証も

従来の魚粉配合飼料と同等の成績を実現
 飼料メーカーのフィード・ワン(横浜市、庄司英洋社長)は、魚粉を使用しないマダイ用の無魚粉飼料「サステナZERO」を開発し、8月1日から販売している。同製品は高い嗜好性を維持し、従来の魚粉を使用した配合飼料と同等の飼育成績を実現している。また、一定期間の給餌制限を行った後、再度飽食給餌を再開することで発現する「補償成長」を利用した飼養管理技術確立をめざし、大規模検証を開始した。
 実用的な無魚粉飼料の普及と合わせ、補償成長を利用した高成長飼養管理技術の両輪で、魚粉を低減し養殖の生産効率を最大化する「次世代養殖技術」の確立をめざす。
 魚粉は魚の成長に必要なアミノ酸組成と高い嗜好性を兼ね備えた原料。そのため従来の無魚粉飼料では、それを補うための高単価な微量栄養素や添加物が多く必要とされ生産コストが高くなる傾向にある。また、魚の嗜好性が低下することにより、成長にばらつきが出やすいなどの課題もあった。
 同社が販売している「サステナZERO」はフィッシュソリュブルの採用など、原料面の工夫により高い嗜好性を実現。飼料のアミノ酸バランスを最適化することで、従来の魚粉を使用した配合飼料と比較しても生産コストを抑えながら同等の成長性を実現している。また、魚粉の代替タンパク質として植物性・動物性原料を複数組み合わせることで、将来の原料環境の変化への対応も想定している。
 養殖魚の生産現場においては、養殖魚に一定期間の給餌制限を行った後、再度給餌を再開することで成長が活性化する「補償成長」(いわゆるリバウンド現象による高成長)という現象が知られている。しかし、従来は赤潮や夏場の高水温期などに養殖魚の斃死を防ぐことを目的に給餌制限を行う場合が大半で、その後の成長効率に関する実証データは極めて少ないのが現状だ。
 同社は、「補償成長」を“生産コストを抑制する高効率の飼養管理技術”と位置付け、改めてそのメカニズムを解明するため、2023年8〜9月、四国・九州地方を中心とした養殖業者と協力して養殖マダイ8万尾を対象に大規模検証を実施する。
 「補償成長」のメカニズムを解明したうえでリスクの低減を図ることで、飼料の総給餌量が減少し養殖業者における飼料コストの削減などが期待される。

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