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今週の一本

●ワタミ 消費拡大で日本の漁業を応援  大場隆弘 (週刊水産タイムス:23/10/09号)

持続可能な水産物を積極利用 東京湾で藻場保全活動も

今後の戦略を説明した渡邉社長
 ワタミは居酒屋の新ブランド発表会見を都内で5日開き、渡邉美樹会長兼社長が今後の戦略について説明した。この中で渡邉会長は水産物の消費拡大を通じて水産業の持続的な発展に貢献する考えを示した。
 具体的にはALPS処理水による風評被害を受けている日本の漁業を応援するとともに、養殖による持続可能な海洋資源を積極的に利用するとした。
 新ブランドは「和民のこだわりのれん街」。グループが持つ7業態の専門店を1カ所に集め、「のれん街」スタイルで展開する。客は1つのテーブルで7ブランドの本格料理が楽しめる。1号店を東京都品川区の大井町駅前に5日オープンした。
 寿司専門店の「すしの和」では復興支援の一環として、広田湾(岩手県陸前高田市)のわかめを使った「広田湾産わかめとどっさりあさりの酒蒸し」(税込768円)を提供する。広田湾漁協と10月末に事業提携し、今後はウニやカキ、ホヤも扱うという。
 持続可能な海洋資源の利用では、主に養殖の本マグロを使用し、刺身盛り合わせ(同1408円)などを提供する。原料は極洋から調達する。
 10月23日からは「日本の漁業応援キャンペーン」と銘打ち、中国の禁輸措置で行き場を失った日本産ホタテを刺身や寿司、串焼きにして提供する。約1tを調達する予定。
 会見では外来種のブルーギルが東京湾の藻類を食べ荒らしている問題にも触れ、問題解決を神奈川県内の漁協と一緒に進めていることを明かした。二酸化炭素を吸収する藻類は「ブルーカーボン」として注目を集めており、渡邊会長は生態系が崩れることへの危機感を示した。
 具体的な対策は、漁協の協力で駆除したブルーギルをワタミグループが練り製品に加工して販売するというもの。スキームはほぼ確立し、蒲鉾メーカーの協力もすでに取り付けたという。残る課題はブルーギルの買い取り価格だが、渡邊会長は「(交渉は)今後1〜2カ月でまとまるだろう。水産業界と手を取り合って持続可能な発展に寄与していく」と強調した。

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