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今週の一本

●日本学術会議 新規加入の実測診断を  松田陽平 (週刊水産タイムス:23/10/30号)

水産業のあり方で見解示す

藤田次長(左)に見解を手渡す
古谷委員長
 日本学術会議水産学分科会は「我が国における中長期的な水産資源の利用のあり方」と題し、日本の水産業の2050年のあるべき姿と必要な施策に関しての見解を水産庁に提出した。
 この見解は、日本学術会議食料科学委員会水産学分科会の審議結果を取りまとめたもの。水産学分科会の古谷研委員長(創価大学プランクトン工学研究所特別教授)と八木信行幹事(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が水産庁を26日訪問し、藤田仁司次長に見解を提出した。
 藤田次長は謝意を示し「有識者の方々の知見や意見をふまえ、日本学術会議の皆さんと意見交換しながら水産業の未来につながるような施策を講じていきたい」と応えた。
 水産文科会ではこれまで、2004年、11年、14年、17年に水産業が直面する課題に対しての提言を行ってきた。今回の見解では、これまでの提言の中で議論されなかった「食としての水産物」「水産物の需給」「水産資源管理」「養殖」「海洋モニタリング」「カーボンニュートラル」「消費と流通」「社会的啓発・教育」について、2050年を目途に水産資源の中長期的な利用のために必要な施策を科学的根拠に基づき整理している。
 水産資源管理については、変動性の高い水産資源の特徴をふまえ、生態系アプローチ型水産資源管理体制の整備に先行して、新規に資源に加入する若齢魚量を毎年実測診断して生物学的許容漁獲量を算出し、それに基づき漁獲可能量を設定する順応的な資源管理を速やかに実施すべきとしている。また、漁獲データなどの一元的管理の重要性も強調している。
 養殖では、日本がこれまで培ってきた高い技術力と経験・知識を基にして、世界が共通に直面している魚病・赤潮対策・低魚粉飼料への移行、沿岸生態系の保全などの解決に向けて国際貢献をすべきとしている。
 認証制度のあり方にも見解を示している。「生物多様性や資源状態を考慮する現行の水産物認証制度の評価項目に加えて、生産や流通に伴うエネルギー消費、温室効果ガス排出量や淡水利用量などの軸による評価など、適正に生産された水産物の消費者への見える化を進め、適正な消費行動を促すことが重要。それらの項目について評価するシステムを世界に先んじて確立すべき」としている。

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