●地中熱と排熱を再利用甲信食糧 世界初のGX工場竣工
本社冷凍冷蔵庫に導入し運用している地中熱(地下水)エネルギーの利用に加え、新工場では工場からの排熱を再利用する「世界初のGX工場」(同社)。地域業務用卸が生産機能を持つことは珍しくなく、最新技術を駆使した製造工程を備えることもあるが、地中熱と排熱をWで利活用する卸の食品工場は例がない。 既に同業卸からの見学依頼が各地から相次いでいるほか、大手メーカーからも注目を集めている。「メディアからの問い合わせも始まった」(中込社長)。 地中熱と工場排熱を再利用することで二酸化炭素の排出量を従来のエアコン比で約50%削減。消費電力も夏場は従来の95kWが35kW、冬場は約20kWが0kWに削減される。 太陽光パネルを40枚敷設し、この発電により年間90万円以上の節電になる。 従業員の働きやすさを考慮し、段差のないバリアフリー、重量物を運搬する作業用エレベータを設置。豪華ホテルを思わせる女性用パウダールームも設置した。施設内はモニタリングカメラが安全を見守る。 排水桝は衛生面に優れ、維持管理が容易なオールステンレス仕様。除菌効果があり、水では落ちにくいタンパク質や油脂などの有機物を電解水生成装置が洗い流す。 原材料の魚は東京の豊洲市場から毎日調達。今月半ばから稼働予定。当初は7人でスタート。1日5万切れ加工可能。地域のホテル、外食、スーパー、給食向けなどに供給する。 「学校給食の栄養職員らが先行して見学に来たが、『ここまで吟味していただいたんですね』と驚いていた」(中込社長)。 各種切り身加工、味付け、要望に応じた切り方対応、梱包を行う。年内にHACCP認証を取得予定。 中込社長は「地域業務用卸として将来に不安を抱えていたが、事業を再構築する上で“製造卸”をめざすのは必然。今回、補助金申請を行ったところ、県内で合格は当社だけ」と背景を説明。 さらに「20年ほど前から当社は地産地消に取り組んできたが、今回の新工場完成を機にエネルギーの地産地消にも取り組みを深める」と意気込みを語っている。中込社長は日給連の会長を務めている。 |
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