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今週の一本

●大手水産前3月期 食品事業堅調で好業績  松田陽平 (週刊水産タイムス:24/05/20号)

市況下落で収益低下した水産事業をカバー

 大手水産会社5社の2024年3月期業績が出揃った。市況下落などにより収益が低下した水産事業に対して、値上げ効果や一部の原料相場の下落などの影響を受けた食品事業が堅調に推移したため、水産事業の収益をカバーする形となり、過去最高益を更新するなど堅調な業績が目立った。
 マルハニチロの前3月期(既報)は売上高が2年続けて1兆円の大台を突破し、過去最高を更新した。外食・介護食・CVS向けなどの食材流通セグメントの好調な販売と価格改定効果が増収に寄与した。収益面は、加工食品セグメント、食材流通セグメントが好調に推移したが、水産資源セグメントの落ち込みをカバーできず減益となった。
 極洋の前3月期(既報)は減収となったが、水産事業や食品事業における収益が大幅に改善し、増益となった。前中期経営計画(2021〜23年度)の利益目標を達成し、収益面は過去最高益を更新した。
 主要魚種のサケ、エビを中心に全体として販売は減少したが、夏以降全般的に相場が強含んだことや、カニ、魚卵などが年末商戦に向けて荷動きが活発となったことで水産事業の収益が大幅に改善した。食品事業も大幅なコスト上昇を反映した適正価格が浸透し、収益が大幅に改善した。
 ニッスイの食品事業の営業利益は272億円、ニチレイの加工食品事業の174億円、東洋水産の国内外の即席麺事業の営業利益は560億円を稼いだ。

ニッスイ、食品事業けん引し過去最高益

 ニッスイ(東京都港区、浜田晋吾社長)の前3月期は食品事業が堅調に推移し、売上高、営業利益は過去最高を更新。当期純利益も3期連続で最高益を更新した。期末配当は1株あたり14円で5期連続の増配、年間配当は24円(前期18円)。
 水産事業の売上高は前期比2.6%増の3368億円、営業利益は42.4%減の106億9700万円。漁業はイワシ、サバなどの漁獲が堅調で増収増益。国内養殖はギンザケの水揚げ数量が増えたが、ブリは前年からの反動減の影響があり増収減益となった。
 南米の養殖は販売数量増加や、生残率改善などの増益効果もあったが、市況が調整局面に入り、在池魚評価損(約28億円)が発生したことで減益となった。北米の加工事業は生産数量が増えたが人件費上昇やスリミ・フィレの価格下落で減益。商事は国内外とも市況悪化の影響で大きく減益となった。
 食品事業の売上高は16.0%増の4432億円、営業利益は138.8%増の272億9100万円。国内外とも価格転嫁が進み増益となった。国内チルド事業は人流回復に加え、新規連結会社が寄与した。
 ファイン事業の売上高は37.5%減の156億9600万円、営業損失は1億7100万円(前期は17億2500万円の営業利益)。日水製薬の売却や医薬原料の米国向け輸出の中断、巣ごもり需要の一巡による通販の反動減などにより減収減益となった。
 今期は売上高8750億円、営業利益325億円、経常利益350億円、当期純利益240億円を計画。中計の目標値を達成する見込みで、過去最高をめざす。

ニチレイ、加工食品堅調で大幅な増益

 ニチレイ(東京都中央区、大櫛顕也社長)の前3月期業績は、堅調な加工食品事業がけん引し、増収増益となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。
 加工食品事業の売上高は前期比5.5%増の2908億円、営業利益は24.7%増の174億1600万円。価格改定の浸透に加え、主力商品や新たな付加価値商品の拡販、海外での売上げなどが寄与し増収。価格改定効果や収益性を重視した施策の継続などにより大幅な増益となった。
 水産事業の売上高は10.7%減の616億100万円、営業利益は37.8%減の5億9100万円。低収益商材の削減を進めたことで減収となった。利益面は高収益商材やMSC・ASC認証品の販売に注力するとともに、コスト増に対応した販売価格の改定を進めたが、魚卵の収益性が低迷して減益となった。
 低温物流事業の売上高は5.4%増の2573億円、営業利益は4.5%増の158億3300万円。国内外ともに保管・輸配送需要を着実に取り込むとともに、料金の適正化や業務効率化の推進、エネルギーコスト高の影響の緩和などにより増収増益となった。
 今期は売上高6900億円、営業利益390億円、経常利益397億円、当期純利益248億円を計画。
 水産事業は低収益商材の削減を進めることで前期比19%の減収となるが、高収益商材などの扱いを拡大し、約7億円の増益を計画。

東洋水産、即席麺事業好調で過去最高益

 東洋水産(東京都港区、住本憲隆社長)の前3月期は、国内外の主要事業での価格改定、改定後の各種取り組みにより増収となり、売上高は過去最高を更新した。また、海外即席麺を中心に主要事業でコストをカバーし、各利益とも過去最高益となった。
 水産食品事業の売上高は前期比3.6%増の295億6200万円、セグメント利益は769.0%増の4億円。コンビニエンスストア(CVS)の来店客数や業務用・外食用食材の需要回復により販売が伸長したこと、ふるさと納税返礼品の納入があったことなどから増収。損益はCVSの来店客数の増加を受けた中食具材などの増収や原材料価格が下落した商材によるコストダウン効果で大幅な増益となった。
 加工食品事業は減収もセグメント利益は499.1%増の7億4200万円。
 海外即席麺事業の売上高は24.0%増の2212億円、セグメント利益は77.4%増の463億円。国内即席麺事業の売上高は2.5%増の1000億円、セグメント利益は44.7%増の97億円。
 今期は売上高5100億円、営業利益720億円、経常利益780億円、当期純利益590億円を計画。
 水産食品事業の売上高は297億円、セグメント利益は5億円を計画。主力の鮭鱒・魚卵商品の販売をベースに営業体制の強化を図るとともに、NBの新商品開発を推進する。

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