●関鯨丸が東京に初入港解体場にコンテナ搬送用天井クレーン
旭洋造船(山口県下関市、越智勝彦社長)で建造し、3月29日竣工した。国産捕鯨母船の建造は73年ぶり。「日新丸」の代船として、沖合母船式捕鯨の中核となる。 総トン数9299t、全長112.6m、船幅21m。航続距離は約1万3000kmで、南極海への到達も可能。 動力源はこれまで採用していたディーゼルエンジンから電気推進システムに切り替えている。エンジンの操作がしやすくなり、騒音や振動が軽減した。 船上部にはクジラを探査するためのドローンを保管・点検するための格納庫と、運ぶためのリフター、操縦場所を完備している。 同船はナガスクジラなど70t級の大型クジラでも引き揚げられるよう、船尾ランプウェイの傾斜角度を18度にしている。 捕獲したクジラの解体は室内で行う。世界初となるコンテナ搬送用の天井クレーンを備えた解体場はテニスコート4面分(約1000u)で日新丸の2倍の広さ。 水揚げから冷凍コンテナまで2〜3時間
解体したクジラのカットから金属製のカゴに詰め込む工程の「パン立て」、急速冷凍、箱詰め、冷凍コンテナまで、すべての搬送をコンベヤで行い省力化。10人ほどの作業員が処理を行う。 パン立ての後は10sほどに切り分けたクジラ肉を真空パックするため、鮮度が良いままで冷凍できる。 クジラ肉の保管庫として20フィート、約15t相当の冷凍コンテナを40基搭載。コンテナごとに分散できるため、数量に応じて効率よく冷凍、冷蔵できる。 コンテナ荷卸し用のランプウェイを設置しているので、トレーラーでの荷卸しが可能になり、陸上保管倉庫への搬出もスムーズになった。 クジラを水揚げしてから冷凍コンテナに保存するまでは最短2〜3時間。鮮度が良いクジラ肉を供給できる。 乗組員の部屋は全室が個室タイプになり、ベッド、ソファー、机、洗面台、冷蔵庫を完備している。 所社長は「日新丸は昨年、廃船になったので、関鯨丸がなければ沖合母船式捕鯨は継続できなかった。今回建造できたことに感謝している。捕鯨は健康に良いクジラ肉を供給し、海のSDGsに貢献している。捕鯨を日本に今後も根づかせていきたい」と述べた。 |
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