冷凍食品(冷食)・冷凍野菜・お弁当の売上・取扱ランキング・ニュース

水産タイムズ社
トップページお問い合わせサイトマップ
今週の一本

●関鯨丸が東京に初入港  金村詩恩 (週刊水産タイムス:24/05/27号)

解体場にコンテナ搬送用天井クレーン

有明ふ頭に入港する関鯨丸
関鯨丸について
説明する所社長
 共同船舶(東京都中央区、所英樹社長)の捕鯨母船「関鯨丸」が東京・有明ふ頭に23日初入港した。
 旭洋造船(山口県下関市、越智勝彦社長)で建造し、3月29日竣工した。国産捕鯨母船の建造は73年ぶり。「日新丸」の代船として、沖合母船式捕鯨の中核となる。
 総トン数9299t、全長112.6m、船幅21m。航続距離は約1万3000kmで、南極海への到達も可能。
 動力源はこれまで採用していたディーゼルエンジンから電気推進システムに切り替えている。エンジンの操作がしやすくなり、騒音や振動が軽減した。
 船上部にはクジラを探査するためのドローンを保管・点検するための格納庫と、運ぶためのリフター、操縦場所を完備している。
 同船はナガスクジラなど70t級の大型クジラでも引き揚げられるよう、船尾ランプウェイの傾斜角度を18度にしている。
 捕獲したクジラの解体は室内で行う。世界初となるコンテナ搬送用の天井クレーンを備えた解体場はテニスコート4面分(約1000u)で日新丸の2倍の広さ。

水揚げから冷凍コンテナまで2〜3時間

日新丸の2倍の広さになった解体場
 天候に左右されることなく大型クジラの解体がしやすくなったほか、衛生面も向上した。室内の温度は調整でき、作業時は20〜25℃に設定する予定。
 解体したクジラのカットから金属製のカゴに詰め込む工程の「パン立て」、急速冷凍、箱詰め、冷凍コンテナまで、すべての搬送をコンベヤで行い省力化。10人ほどの作業員が処理を行う。
 パン立ての後は10sほどに切り分けたクジラ肉を真空パックするため、鮮度が良いままで冷凍できる。
 クジラ肉の保管庫として20フィート、約15t相当の冷凍コンテナを40基搭載。コンテナごとに分散できるため、数量に応じて効率よく冷凍、冷蔵できる。
 コンテナ荷卸し用のランプウェイを設置しているので、トレーラーでの荷卸しが可能になり、陸上保管倉庫への搬出もスムーズになった。
 クジラを水揚げしてから冷凍コンテナに保存するまでは最短2〜3時間。鮮度が良いクジラ肉を供給できる。
 乗組員の部屋は全室が個室タイプになり、ベッド、ソファー、机、洗面台、冷蔵庫を完備している。
 所社長は「日新丸は昨年、廃船になったので、関鯨丸がなければ沖合母船式捕鯨は継続できなかった。今回建造できたことに感謝している。捕鯨は健康に良いクジラ肉を供給し、海のSDGsに貢献している。捕鯨を日本に今後も根づかせていきたい」と述べた。

水産タイムス 冷食タイムス
(C) Copyright 2004-2015, Suisan Times Co., Ltd. All Rights Reserved.
当サイトに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。  お問い合わせ |サイトマップ著作権・記事使用・リンク・個人情報の保護などについて>>