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今週の一本

●キユーピー 世界トップ級の研究成果発表  大場隆弘 (週刊冷食タイムス:24/11/05号)

特許取得数で1位 タマゴは良質なたん白源

(左から)児玉氏、金光本部長、兒嶋氏
 キユーピーは報道関係者向けに「キユーピーのタマゴセミナー〜科学でひもとくタマゴの可能性」を都内で30日開催した。キユーピーは国内の年間鶏卵生産量の1割に相当する約25万tを取り扱っており、タマゴに関する特許取得数で世界1位を獲得するなど研究開発では日本を代表する。
 セミナーでは11月5日の「いいたまごの日」を前にタマゴが持つ潜在的な価値や可能性を改めて伝えることを目的に、研究開発本部の金光智行執行役員本部長、児玉大介未来創造研究所機能素材研究部チームリーダー、兒嶋高志食創造研究所タマゴ開発部担当部長の3名がこれまでの研究成果や最新の研究内容について発表した。
 この中で児玉氏はタマゴは乳や牛肉、魚肉などに比べてたん白質の利用効率(摂取栄養素の体内利用率)が各段に高いこと、アミノ酸スコア(必須アミノ酸の含有指標)が100であることを紹介し「近年はたん白質の量だけでなく、質にも注目が集まっている。タマゴは非常に利用効率の高い、良質なたん白源であることを知ってほしい」と強調した。
 タマゴにはたん白質の他にもあらゆる栄養成分が含まれている。中でも「卵黄コリン」と呼ばれる成分には認知機能の一部である「言語記憶力の維持」に働くことが臨床試験で確認された。キユーピーはこの成分を38.8mg配合した機能性表示食品のサプリメント「コリンEX」を8月に発売した。このほか最近の研究では鶏卵の主要なアレルゲンを含まないタマゴをゲノム編集技術で作出することに成功し、今年から臨床試験を始めている。

凍結卵を市販展開ミールキット好調

 キユーピーは液卵(冷蔵)、凍結卵、乾燥卵(一部冷蔵・冷凍あり)の加工卵を食品メーカーを中心に業務用として供給している。以前はサルモネラ菌のリスク回避が受注の主な理由だったが、兒嶋氏によれば「最近は人手不足を背景に加工卵の付加価値が注目されている」という。割卵の手間削減や殻の処理の問題解消、経済性の面で導入効果が高いことが評価され、需要は増している。
 キユーピーの加工卵は独自技術で様々な機能性を高めている点に特長があり、「エクセルエッグHV」は殺菌した全卵(液卵)ながら、通常の殺菌製品に比べて泡立ち(起泡性)が良く、スポンジがふわっと仕上がる効果を持つ。気泡が大きく多いため、スポンジケーキに使った時に口どけも良くする。
 キユーピーはタマゴに関する研究開発から生まれた加工卵の技術を業務用にとどまらず、市販用にも少しずつ広げている。9月に発売した中華風ミールキットの「好吃卵(ハオツーたまご)」シリーズは凍結卵を初めて市販用に展開した新商品。
 現在はEC販売限定だが、出足は好調で「好吃卵豚 にら玉」はアマゾンランキングで1位を獲得するなど当初想定を超える売れ行きという。いずれは量販店の売場に並ぶ可能性もあるとみられる。

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