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この人に聞きたい:第166回
(週刊冷食タイムス:08/11/04号)

ニチレイ 上期は増益

(株)ニチレイ 社長  村井利彰氏

 

原料高 下期の加速不可避
値上げ効果飲み逆ザヤか

 ニチレイの上期の連結冷食売上げは8億円増の899億円で、営業利益は増益を確保した。市販用は天洋事件などの影響で市場全体が低迷したが、「パリパリの春巻」などが好調で微減収にとどめた。業務用は引き続き好調。しかし、「いんげん事件」の影響が避けられず、下期は原料高が予想を上回って一段と進行すると見ており、冷凍食品を中心に通期の業績見通しを下方修正した。村井利彰社長が10月29日日発表した。

いんげん事件で30億円影響予想
 市販用調理品が3億円減(1.2%減)の237億円、業務用が32億円増(8.0%増)の431億円、農産加工品ほかが8億円増(4.2%増)の231億円となった。市販用は天洋事件の影響などで市場全体が低迷したが、「パリパリの春巻」などが好調で微減収にとどめた。上期の市販用市場は5.9%程度落ち込んだと見ている。広告費の削減などにより、利益改善が進んだ。
 業務用調理品は引き続き好調。中食向けを中心に鶏から揚げやフライドチキンなどチキン加工品が伸び、森工場の新ラインで製造するコロッケも拡販が進んだ。
 農産品は市販用が市場全体同様に前年割れだが、業務用が伸長。ポテトや枝豆などが売上げ好調で増収増益を確保した。
 健康対応のウェルネス食品は32.1%増収で増益。この分野は通期で29億円の売上げを見込む。
 加工食品に含まれるアセロラはリニューアル効果が表れず、11億円減収の41億円で減益だった。

事件の影響受ける
原料108億円高騰
 ニチレイはいんげん事件が売上げに影響し、原価高も下期相当進むと見ており通期で加工食品を中心に業績見通しを下方修正した。
 いんげん事件により「凍菜をはじめとする市販用冷食の需要が減退する」(村井社長)と予想。今期の冷食売上げは当初見込みに比べ30億円、営業利益は4億円減少する、と見る。
 取引先との代金精算や消費者への返金などの回収関連費用が発生するが、現時点では不明なので通期業績予想には含めていない。
 また、原料高について村井社長は「77億円の原価高予想に対し、チキンの高騰が特に大きく、通期で108億円に大きく膨らむ」と見通しを説明。昨年と今年の値上げで今期101億円の増収効果を見込むが、このままでは逆ザヤとなる。

水産が久々回復
 ニチレイの上期は鶏肉が大幅増加の畜産と欧州事業が引き続き好調な低温物流が寄与し、連結売上げは5.1%増2428億1600万円となった。営業利益は7期振りに利益を計上した水産と大幅増収の畜産が寄与し13.7%増90億6700万円、経常利益も12.5%増86億7200万円と大幅に利益改善。純利益はリース会計基準適用に伴う17億円を特損とし、16.5%減39億6800万円となった。

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