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この人に聞きたい:第169回
(週刊冷食タイムス:08/11/25号)

冷凍機からシステムへと

(株)前川製作所 名誉会長  前川正雄氏

(まえかわ・まさお)社長時代は海外事業を推進、世界で「マイコン冷凍機」の評価を高からしめた。スイス・チューリッヒ近郊に在住。早大理工学部卒、76歳。

スイスで自ら人脈作り

 冷凍機単体からシステムの提案へと事業領域を拡大する前川製作所。スイスのツーク市に設立したマイコムインターテックで数年間、率先して現地の市場を開拓してきた前川正雄名誉会長。フロンティアスピリッツは益々盛んだ。

 ――国内からとは違う視点で日本を見てきた。

 前川 いいえ、そこに大きな違いはありません。欧州に滞在しているのは、圧縮機の単体販売から抜け出し、システムで売るためです。圧縮機は代理店販売ですが、エンジニアリングは顧客のトップと会わなくては話が進みません。当然、当社も役員クラスが出て行かなくてはなりません。

 ――なぜ欧州なのか?

 前川 食品加工技術は今も欧州が中心的な存在です。アメリカで使われている機器も、高性能なものは大体が欧州製です。欧州でうまくいけばアメリカにもすんなり入れます。順番が逆だと欧州に進出する時にまた一から出直さなくてはならない。7年間でシステムの基礎が出来上がったので、そろそろアメリカでも同じ事を仕掛ける時期だと考えています。

 ――欧州ではエンドユーザーとの関係がほぼできたと?

 前川 パン、ビール、飲料、さらに冷凍食品メーカーとも関係を構築できました。

 ――では日本は?

 前川 当社は「熱」から入っている点が食品機械メーカーと異なるのです。食品機械メーカーだとメンテナンスフリーなどのメカニカルな部分で考えますが、「熱」から入ると色がいい、おいしい、香りがいいといった観点で物造りをする。

 ――なるほど。

 前川 もう一つの違いは、一般に加工や貯蔵では大きなものも小さなものも同じ温度で扱いますが、そうではないということ

 ――というと?

 前川 発酵を伴う食品などはストレスを与えない冷却方法にするなど、対象物によって冷し方を変えなくてはいけません。典型的なのがまぐろです。温度と色、味が大きく関係するのは知られていますが、よく見ると他の食品も同じです。こういう視点の機械屋は世界中で他にありません。食品化学、栄養学などを学んだ者もどんどん加わり、熱を基点に味に向かう。そうなると色々なことが分かるようになります。もう20年前からそんなことをしていて、場数を踏んだ者が増えました。

 ――それが求められると?

 前川 デフレでコストダウンが必須となる一方で、高級品も求められています。品質に金を払う先進国のマーケットができていると思います。

 ――アンモニア冷媒の圧縮ユニット、ニュートンを今年開発した。

 前川 今までの当社の技術の集大成です。それでも「おい、ここをもっとこうしたらCOP(冷却成績係数)が高まるぞ」といったアイデアが出続けています。民生用ならともかく、産業用でどんどんバージョンアップするケースは珍しいでしょう。既に第2世代のニュートンを開発中です。

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